たけしの“爆笑祝辞”全文「両陛下がご覧になった映画が…」

[ 2019年4月11日 05:30 ]

天皇陛下即位30年を祝う祭典「感謝の集い」 ( 2019年4月10日 )

天皇陛下の即位30年を祝う祭典「感謝の集い」で祝辞を読む映画監督の北野武
Photo By 共同

 天皇陛下の即位30年を祝う超党派の「奉祝国会議員連盟」(会長・伊吹文明元衆院議長)などが共催した祭典「感謝の集い」が10日、東京都千代田区隼町の国立劇場で開かれた。安倍晋三首相らの式辞に続いて、タレントで映画監督の北野武(72)が祝辞を述べた。

 【祝辞全文】

 お祝いの言葉。

 天皇、皇后両陛下におかれましては、ご即位から30年の長きにわたり、国民の安寧と幸せ、世界の平和を祈り、国民に寄り添っていただき、深く感謝いたします。

 私はちょうど60年前の今日、当時12歳だったその日、母に連れられて、日の丸の旗を持つ大勢の群衆の中にいました。波立つように遠くの方から歓声が聞こえ、旗が振られ、お二人の乗った馬車が近づいてくるのが分かりました。

 母は私の頭を押さえ「頭を下げろ。決して上げるんじゃない」とポコポコ殴りながら、罰が当たるぞと言いました。私は母の言う通り、見たい気持ちを抑え、頭を下げていました。そうしないと罰が当たって、急におじいさんになっていたり、石になってしまうのではないかと思ったからです。

 そういうわけで、お姿を拝見することはかないませんでしたが、お二人が目の前を通り過ぎていくのは、はっきりと感じることができました。

 私が初めて両陛下のお姿と接したのは、平成28年のお茶会の時でした。なぜか呼ばれた私に、両陛下は「交通事故の体の具合はどうですか。あなたの監督した映画を見ています。どうかお体を気をつけてください、頑張ってください」とお声を掛けていただきました。

 このとき、両陛下が私の映画のことや体のことまで知っていたのだと驚き、不思議な感動に包まれました。ただ、いま考えてみれば、両陛下がご覧になった映画が、不届き者を2人も出した「アウトレイジ」ではないことを祈るばかりです。

 また、お土産で頂いた銀のケースに入っている金平糖(コンペイトー)は、いまや我が家の家宝になっており、訪ねてきた友人に1粒800円で売っております。

 5月からは元号が令和に変わります。私がかつていたオフィス北野も、新社長につまみ枝豆を迎え、社名を変えて「オフィス冷遇」に改して、タレントには厳しく当たり、変な情をかけないことと決めました。

 私は、自分が司会を務めた番組で、私たちがニュースなどで目にする公務以外にも、陛下は1月1日の四方拝をはじめ、毎日のように国民のために儀式で祈りをささげ、多忙な毎日を過ごされていることと聞きました。

 皇后陛下におかれましては「皇室は祈りでありたい」とおっしゃいました。お言葉の通り、両陛下は私たちのために日々祈り、寄り添ってくださっていました。私は感激するとともに、いま感謝の気持ちでいっぱいです。

 平成は平和の時代であった一方、災害が次々に日本を襲った時代でもあります。そのたびに、ニュースでは天皇、皇后両陛下が被災地をご訪問され、被災者に寄り添う姿が映し出されました。

 平成28年8月、陛下は次のように述べられております。

 「私は、これまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えてきましたが、同時にことに当たっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思い寄り添うことも大切なことと考えてきました」

 国民の近くにいらっしゃり、祈る存在であること、そのお姿に私たちは救われ、勇気と感動を頂きました。

 改めて、平成という時代に感謝いたします。またずっと国民に寄り添っていただける、天皇、皇后両陛下のいらっしゃる日本という国に生を受けたことを幸せに思います。

 ありがとうございました。

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2019年4月11日のニュース