大砂嵐初陣で思い出した残念な試合…本物が求められる時代、もったいない試合はいらない

[ 2018年10月8日 10:00 ]

格闘技デビュー戦となったサップ戦で消極的な闘いにイエローカードを出された大砂嵐(撮影・島崎忠彦)
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 ジャイアント馬場―ラジャ・ライオンを見たのは31年前のことだ。馬場初となる異種格闘技戦。ワクワクしながらテレビのチャンネルを合わせたが、パキスタンの空手家ラジャの蹴りの遅さにガク然とした。

 「なんじゃこりゃ???」。巨大な竹とんぼのような体形。自ら放ったキックでバランスを崩して尻餅をつくというお笑いアクシデントも発生。2ラウンドに馬場ののんびりしたスピードの変形の腕ひしぎ十字固めで勝負は着いたものの、最後まで緊張感はゼロ。トム・マギー―長州力なんてパンチの効いた異種格闘技戦もあったが、ラジャは記憶に残る一戦となった。

 さて先日放送された「RIZIN.13」である。ボブ・サップ相手の元幕内・大砂嵐の総合格闘家デビュー戦で、あの残念な試合を思い出した。台風直撃のこの日、アブドーラ・ザ・ブッチャーのテーマソング「吹けよ風、呼べよ嵐」で入場してきたところがピーク。1ラウンド開始25秒までは猛ラッシュをかけたが、その後はスタミナ切れ。グラウンドの攻防も見所はなく、3ラウンド目にはノーガードでお見合いする場面もあり、そのまま終了のゴングが鳴った。45歳のサップにいいところなく判定で敗れた26歳。いかんせん両者ともコンディションが悪すぎた。

 メインで放送された堀口恭司―那須川天心が最高の試合だっただけに、もったいない。ほかにもテンションの高い試合が多かった。一般視聴者に訴えかけるために、大砂嵐のカードを用意したのだろうが、日曜のゴールデンタイムに失笑がもれるような試合は逆効果。台風で電車が計画運休となり、観客の帰宅を考慮して試合順を急きょ、組み替えるアクシデントがあったのも、放送には若干影響したのかもしれない。平均視聴率6・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)で瞬間最高は堀口―那須川の9・6%。出足の大砂嵐がド迫力の試合をしていれば、また違った結果になっていただろう。

 ラジャ・ライオンの時とは違って、90年代入ってからのUFC、K―1、PRIDEを経て日本の格闘技ファンの目は肥えている。大みそかにはどんなカードを持ってくるのか。大砂嵐もいきなり後がない状況だ。せめて3分×3ラウンドで、スタミナが切れない体力を作るのがプロではなかろうか。本物が求められる時代に、もったいない試合はもういらない。

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