ゲスの“お持ち帰り”より 締めはお茶漬けで乙女も喜ぶ!?

[ 2016年9月15日 08:33 ]

酸味がきいてさらさらとおいしい

 【笠原然朗の舌先三寸】「ぶぶ漬けどないどす?」。京都の人にそう言われたら、「もうそろそろお帰りを…」と促されている?

 京都人気質を表すエピソード…というより伝説だ。

 飲んだ揚げ句の締めの茶漬け。訪問先で酒宴に預かり、最後に出されりゃ、さらさらっといただく。おにぎりやラーメンより軽い“締め”の一食。「ダイエットで糖質抜いてますんで」なんて断るのは、やぼってもんでしょ。

 話は飛ぶ。

 最近、「なんだかなー」と思う言葉が「お持ち帰り」。

 飲食店で使われる用語で、「お」が付いているのだから、これは「提供する側(店)」の丁寧語。「お持ち(帰り)になりますか?」なんて。

 「テークアウト」のことだが、これは和製英語で、英語圏では通用しないらしいが。

 「なんだかなー」の理由は、食べ物ではなく、最近、人間を「お持ち帰り」というのをよく聞くこと。

 「ゲス川谷絵音 20代美女お持ち帰り」とか。

 食べ物の「お持ち帰り」と違って提供者が存在するわけではない。おまけに「お持ち帰り」と表現されるくだんの女性は、男性よりも“格下”。相手が大物ならこうは表現しない。

 女性は食べ物じゃないの。人間なのよ。人権侵害だわ。全く失礼な…などと世の女性が「お持ち帰り」という表現をめぐり、怒り心頭か…と思い、アルバイトの女性、Iさんに聞いてみる。

 「うーん、特に何とも感じないですね。付いて行っちゃったんだな、って。でも、東大生の事件はひどいと思いますよ」

 東大生5人が強制わいせつ罪に問われた件。被告の1人は「女性をモノとして扱ってしまった」「自分よりも頭が悪いと考えるようになり、相手の気持ちを考えられなくなった」と法廷で述べたという。とんでもない“ゲス”だ。

 そしてもう1人の“ゲス”。不倫が原因で離婚してすぐの人気者が、素人娘を「お持ち帰る」ことの正否を出演者たちが喧々ガクガク、議論(あまりに低レベルだから口論?)していた番組をたまたま見てしまった。

 「不倫相手が仕事も失い、バツも受けているのに」「別れた奥さんはきっと傷ついているよ」「いや彼はもう独身だから…」。「お持ち帰り」された女性への言及はたぶんなかった。

 彼は有名国立大学出身で音楽界では“天才”の呼び声も高い。女性をモノ扱いしていないことを祈る。

 男女の心の機微は複雑。はたから「お持ち帰り」と言われる関係でも、どっちに主導権があり、“食べる側”がどちらなのかは、本人どうしでしか分からない。

 「据え膳食わぬは男の恥」などと昔は言った。出された食事はいただく、つまり女性からの誘いを断るのは恥ずかしいと。「食わぬも恥」なら、反対に、がっついて「食ってしまうのも恥」だとも思う。毒があるかもしれない。食あたりも心配だ。

 その点、茶漬けは“安全”だ。ありがたくいただき、さっさと帰る。(専門委員)

 ◎乙女も喜ぶさっぱりアジアン極み茶漬け

 “茶漬け”というよりスープかけご飯。いわゆるだし茶漬けかな。
 (1)鶏の胸肉をサイコロ大に切り、顆粒の鶏ガラスープで味を出したスープに投入。
 (2)ミニトマトを4分の1にカット。あわせて投入。
 (3)食材に火が通ったら、タイの魚醤「ナンプラー」(ベトナムの「ニョクマム」でも可)とレモン汁で味を調え、アツアツのご飯にかける。好みでパクチーを添える。
 ※顆粒スープの塩味をベースにする。ナンプラーは味をみながら少しずつ投入する。

 ◆笠原 然朗(かさはら・ぜんろう)1963年、東京都生まれ。身長1メートル78、体重92キロ。趣味は食べ歩きと料理。

続きを表示

2016年9月15日のニュース