岡田准一、俳優としての理想像「仕事したら面白そうだなと思われる人に」

[ 2016年3月8日 10:48 ]

岡田准一主演の映画「エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)」

岡田准一インタビュー

 主演映画「エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)」(12日公開)で、日本映画で初めて世界最高峰エベレスト(8848メートル)でのロケに挑んだV6の岡田准一(35)。95年に大阪府の自宅で阪神大震災を経験した岡田が、東日本大震災から5年の節目に命懸けで撮影した映画を通じ、被災地に力を届ける。

 映画で演じるのは、エベレスト登山史の謎を追う山岳カメラマン・深町。エベレスト街道といわれる登山道を10日間かけて標高5200メートルまで登り、ベースキャンプに寝泊まりしながら約10日間の撮影を敢行した。

 登山とカメラが趣味で運命的な役。酸素が薄く、突風が吹きマイナス20~30度になる地での撮影は命懸けだったが「山が地球の壁みたいに並んでいて、まさに“神々の山嶺”と感じる場所。もう一回あの景色を見たいと心の奥で思い続けている自分がいて怖いです」。

 撮影で知り合った登山のプロや山好きの役者仲間らと昨年、山岳部を結成。エベレストを登ったことで一目置かれ「おかげで部長をやってます」とおどけて明かした。

 「なぜ山に登るのか」という問いに、英国人登山家ジョージ・マロリーは「そこに山があるから」という名言を残し、劇中で深町が追い掛ける孤高のクライマー・羽生(阿部寛)は「俺がいるから」と答えた。

 「僕は一緒に登る仲間がいるから登るんだと思う。みんながしんどいときにユーモアを出して気持ちを上げたり、ついてこられていない人をしっかり見たりするのは、主演でも、どの社会でも役に立つ。そういうことも学べるから山に登っているところがあります」

 95年のデビュー以来、アイドルとして人気を誇る一方、俳優業の活躍も目覚ましい。「今後10年は何かの力になれる男になるというのが目標。映画とか、お世話になったものに向き合い、大事にできる男でいたいです」

 アクションのために武術を習得するなどストイックさで有名。亡き名優たちにも真摯(しんし)な姿勢は評価され、99年にドラマで共演した緒形拳さんからは「芝居に向いている。続けなさい」と激励され、高倉健さんとは共演したことはないが、人づてに「将来の日本映画を背負う気骨のある若手」と最高の褒め言葉を贈られた。

 「お世話になった俳優さんたちの背中は、目指すにはあまりにも遠い。追い求めていくしかないですね」と表情を引き締める。「あいつと仕事したら面白そうだなと思われる人になりたい。最近は“一緒にチャレンジしてくれないか”と言っていただく仕事が続いて、幸せに思っています」

 21年前の震災以来「どういう男でいるのか」を追求し、誰もが頼りにしたくなる男に成長した。インタビュー中に何度も繰り返した「力になりたい」という言葉。強さに裏打ちされたその優しさを胸に、挑戦を続ける。

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