【スポニチ本紙評論家セ・リーグ順位予想】昨年11人→14人が阪神の「アレンパ」支持

[ 2024年3月26日 05:30 ]

スポニチ評論家の予想
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 阪神の「アレンパ」か、それとも新生・巨人が待ったをかけるか――。29日にいよいよ開幕する2024年のプロ野球。スポニチ評論家23人が、今季の両リーグの行方を占った。前編はセ・リーグ編。昨季に日本一に輝いた阪神の1位予想が昨年の11人から14人に増えたが、張本勲氏(83)は球団創設90周年を迎えたライバルの巨人の奮起にも期待した。

 【張本勲氏、伝統の阪神と巨人で優勝争い見たい】阪神と巨人。宿命のライバル同士による優勝争いを期待している。総合力は阪神がわずかに上だろう。投打ともに安定感はリーグ随一。1番・近本の存在はやはり絶大だし、何より選手が岡田監督を信頼しているのが伝わる。ベテラン指揮官は奇をてらわずにセオリーを重視し、強引な采配はしない。昨季はその手腕をいかんなく発揮した。

 ただ、4年目を迎える佐藤輝は非常にもったいない。あれだけの素質、センスがありながらシーズンの自己最多は24発。まさに「喝!」だよ。今はまだ「並」の打者。打撃フォームで右足をステップした際に左足に体重が残りすぎて、反っくり返ったような打ち方になる。40本以上は間違いなく打てる素材。佐藤輝、大山が近本、中野ら、上位の打者を還してこそ得点力は向上する。今季こそ、の覚醒に期待したいね。

 巨人は阿部新監督が新たにどんな「色」を出すか。まずは開幕から30試合。じっくりと采配ぶりを見てみたい。昨季は阪神に6勝18敗1分けと大きく負け越したことが響いた。いきなり対戦する29日からの開幕3連戦は今季のすう勢を占うものになると思う。球団創設90周年。V奪回なら大きな「あっぱれ!」を3つぐらいあげたいね。

 3位以下は混戦。ダークホースとして期待しているのが広島だ。戦力的には上位2チームと差があるが、昨季も2位と奮闘。なにより新井監督の、選手と一緒に戦っている姿勢が非常にいい。選手の信頼も得ていて、チームの一丸ムードを感じる。注目は高卒3年目の田村。3本塁打を放ったオープン戦でも鋭いスイングが目立った。ぜひ生で見てみたい、楽しみな選手だ。

 昨季のチーム防御率がリーグ2位の3・08だった中日は毎年の課題だが、打線の援護が不可欠。今季は私と同郷の広島出身の中田が加入した。これまでキャンプなどでも打撃指導する機会があったが、佐藤輝と同様に40本は打てる能力がある。34歳にしての新天地での挑戦を心から応援したい。

 【東尾修氏、巨人・カギ握る菅野、戸郷と2本柱になれば】巨人の鍵を握るのは菅野。去年は体が開いてフォームがバラバラだった。戸郷と2本柱となれば優勝に導ける。DeNAは度会の加入とオースティンの復帰。今永が抜け投手陣は苦しいが、打線の爆発力で優勝争いに加わりたい。阪神は村上ら若手が実質的に2年目で開幕でつまずくと不安。広島は西川が抜け上位は苦しい。ヤクルトはケガ人も多く先発ローテーションが組めない状態。中日は補強はしたが1年間安定した力を出せるか疑問。

 【有藤通世氏、阪神・チーム防御率12球団1位の投手の質】先発、リリーフを含めて投手の質を重視して予想した。阪神は昨季、チーム防御率が12球団トップの2・66。岡田監督の巧みな采配も相まって今季もV候補だ。3位以下は混戦。昨季に5位に低迷したヤクルトは、故障などで51試合の出場に終わった塩見が1番打者として復活すれば面白い。DeNAはドラフト1位・度会が加わった打線は破壊力があるが、やはり今永、バウアーの抜けた投手陣が課題。中日は打線次第で3位の可能性も。

 【田淵幸一氏、阪神・四球に進塁打…「勝つコツ」覚えた】昨季の阪神の戦い方は、それまでのチームとまるで違っていた。四球に進塁打、犠打、犠飛…。決して派手ではないが、選手が勝つコツのようなものを覚えたと思う。巨人は阿部新監督に代わり、オープン戦から捕手の小林を起用している。守りにおいて、彼の存在は貴重だ。阪神から移籍のケラーも使える。守護神の大勢が戻れば阪神とのV争いになる。DeNAは即戦力の度会が加入したが、今永、バウアー、ソトが抜けて戦力ダウンだ。

 【大野豊氏、広島・若鯉と助っ人どこまで我慢できるか】広島は投手力がいい。特に先発陣。リリーフ陣も試合終盤に矢崎→島内→栗林とつなぐ形もできてきた。課題は得点力。1番から8番まで打順は固まっておらず、若い田村や末包、そして新外国人のシャイナーやレイノルズに、新井監督がどこまで我慢できるか。阪神の投手力はさらに層が厚い。巨人は戦力補強に本気度が伝わる。DeNAとヤクルトは勢いに乗る可能性はあるが、1年間を走り切るには投手力。中日はその逆で打撃力次第。

 【槙原寛己氏、巨人・期待の新人外野手・佐々木ら上積み】昨季Vの阪神は投打とも陣容はほぼ変わらないが、新人の佐々木らが新戦力として期待できる巨人は上積みがある。開幕3連戦の直接対決が非常に大事。巨人は守護神・大勢の復活が鍵だ。彼が9回に決まれば中継ぎ投手は駒がそろっているだけに、強力な必勝リレーが可能になる。2位に予想した阪神は、3位以下の可能性もある。今永、バウアーと左右のエース格が抜けたDeNAは厳しいか。ダークホースは、打線の奮起次第で中日。

 【伊東勤氏、阪神・輝&森下が成長すればV率高くなる】阪神は優勝経験が大きい。メンバーも固定され穴がない。キーマンは佐藤輝と森下。2人が成長してくると優勝確率は高くなる。巨人は若手野手の台頭とドラフト1位の西舘の加入。阿部監督もクイックを評価しており抑えもある。広島は新井監督の全員野球でまとまりがある。森下の復調も好材料。DeNAはオースティンが復活。打力で投手陣をカバーしたい。ヤクルトは村上が開幕から引っ張れるか。中日は中田が通年で働けるかが疑問。

 【牛島和彦氏、阪神・大きな戦力ダウンなく投手層も厚い】阪神の先発陣は昨季、2桁勝利が3人に8勝が3人。リリーフ陣も含め投手陣の層は厚い。大きな戦力ダウンもなく、今季もV候補筆頭だろう。2位以下は混戦とみる。巨人は戸郷に加え昨季10勝の山崎伊が成長。昨季4勝の菅野が復活できるかが大きなポイントだ。中日は毎年の繰り返しになるが、力のある投手陣をいかに打線が援護できるか。昨季5位のヤクルトも先発陣が苦しい。ただ、どのチームもきっかけをつかめば上位進出も。

 【辻発彦氏、阪神・チーム全体が「勝ち方」を知っている】阪神は実質2年目の村上、大竹に不安はあるが野手は安定。森下も成長が期待され、チーム全体が勝ち方を知っている。巨人は新人の佐々木ら若手が伸びて競争意識が高くなっている。阿部新監督の思い切った選手起用で勢いがつきそう。広島は西川が抜けたが田村が出てきた。しぶとい野球も健在。DeNAは投手力が低下も好不調の波がなく打撃技術が高い度会に期待。ヤクルトは投手の駒不足。中日は補強はしたが、打線に爆発力がない。

 【森繁和氏、阪神・優勝した昨季からマイナス要素なし】阪神は優勝した昨季からマイナス要素がない。巨人は阿部新監督になり、チームに新風を吹き込んでいる。中継ぎ陣に好投手がそろい、去年より面白いチームになった。中日を2位に予想するかで迷った。投手陣は確かに充実しているが、気になるのは高橋宏。オープン戦は結果が出ず、開幕2軍が濃厚。あれだけ素晴らしいボールを持っていながら、フォームをいじった影響か、制球が定まらない。彼の復調は、中日の上位進出に不可欠だ。

 【中畑清氏、巨人・救援強化「悪夢の8回」がなくなれば】去年は初めて阪神を1位に予想したが、今年は巨人。菅野を先発6番手にした阿部新監督の手腕に期待する。捕手出身らしく守りを重視。先発は戸郷、山崎伊、高橋礼、グリフィン、メンデス、菅野の6枚。勝ち試合の継投も7回西舘、8回中川、9回大勢と明確に打ち出した。大勢の状態次第では堀田も控えている。馬場、ケラー、泉、近藤を獲得して中継ぎ強化。昨季のような「悪夢の8回」がなくなれば、落ち着いた試合運びができる。

 【広澤克実氏、阪神・連覇の可能性が高いが…敵は「油断」】戦力的には投打いずれも充実している阪神の連覇の可能性が非常に高いと予想するが、もしもチーム内にはびこっていたら怖いのが慢心やおごり、油断。オープン戦の勝敗は、あくまでオープン戦なので気にする必要はないが、なかなか勝てない理由が、それらが原因ならば目に見えないものだけに厄介だ。あとは主力選手の負傷だろう。試合の中でのやむを得ない負傷はもちろんあるが、先に言った油断などが原因の戦線離脱は避けたい。

 【野村謙二郎氏、広島・積極的走塁の成功率を高められれば】広島の課題は得点力。新井監督は「143試合で143通りのオーダーを組む可能性がある」と言っていた。昨年から相手に走ってくるぞ、という意識付けはしてきた。あとは成功率を高めたい。投手は先発も後ろも数はそろっている。打線はつないで、投手陣は余計な失点を防いでロースコアの試合を勝っていけるかが重要。ドラフト1位の常広は開幕後、しばらくしたら出てくると思う。かなり、いい球を投げる。打つ方では田村に期待。

 【佐々岡真司氏、広島・できてきた「抑えの栗林につなぐ形」】阪神は今年も戦力はそろっているし、他球団からのマークは当然、厳しくなる。投手力では広島も負けていない。先発ローテーションの6人、そして抑えの栗林につなぐ形もできてきた。ドラフト1位の常広は少し調整は遅れているが、キャンプでも、物凄い真っすぐを投げていた。フォークボールもいい。5月頃には出てくる。課題は固定できない打線。巨人は阿部監督の評価も高い新人の泉口、佐々木が実績組に迫れるようだと面白い。

 【矢野燿大氏、阪神・不動の守護神・岩崎の元気が大前提】阪神は投手陣は質も良いし、数もいる。1年間、十分に戦える。ただ、岩崎の代わりはいないので、守護神が元気でいるのが大前提。打線もほぼ固定できているので、投打に隙は少ない。巨人は坂本、丸、菅野らのベテランに差しかかっている主力がしっかりと結果を出せるか。補強もしたし、若い力も出てきてはいるが、まだまだ彼らが中心で主力の力が必要。DeNAはやっぱり打線が強力。今永、バウアーの抜けた穴を埋められるか。

 【亀山つとむ氏、阪神・オープン戦の勝敗気にしなくていい】昨年に日本一に輝いた阪神は、オープン戦の勝敗は気にしなくていい立場。キャンプでしっかりと個々の課題に取り組んできているし、開幕へ向けた調整が主目的でいい。中野の極端な打撃不振が目立っているが、2番打者なので四球を取ったり進塁打を打ったりチーム打撃で貢献可能だ。このオフ、巨人は投手陣、中日は攻撃陣の補強に積極的だったが阪神は昨年とほぼ変わらないオーダー。なので唯一、心配なのが主力選手の負傷だろう。

 【赤星憲広氏、阪神・機動力と戦力充実 日本一で自信も】今春も臨時コーチをしてきたが、阪神は投手力、打力、そして機動力と戦力は充実。さらに昨年の日本一で自信もつけている。巨人の阿部監督は守り重視の野球をやってくる。投手陣では戸郷、山崎伊に、今年は菅野のコンディションも良さそう。早々と固定した遊撃・門脇は守備は間違いないので、あとは打つ方で塁に出られるか。中日は課題の二遊間に田中が入って往年のアライバ(荒木、井端)のようにセンターラインを強固にしたい。

 【関本賢太郎氏、阪神・良化しそうな投手 伸びしろある野手】投手力の差で阪神に決めた。昨年のチーム防御率2・66は秀逸で、若い選手が多く、今年はさらに良化しそう。野手も主力選手のポテンシャルからしたら物足りないくらいで、まだ伸びしろがある。巨人が主に投手力を強化したが、阪神にまだ追いつかないのでは。広島は投打に伸びつつある若い力で勢いをつけたい。ヤクルトとDeNAは打線が強力だが、やはり投手力に不安がある。逆に先発も抑えも投手力のいい中日は、得点力次第だ。

 【能見篤史氏、阪神・先発ローテ“7番手”に力のある門別】投手力のいいチームが有利で、阪神は飛び抜けている。先発ローテーションの“7番手”として高卒2年目の左腕・門別も控えている。まだ実績はないが十分にやれる力がある。中継ぎと抑えも質、量とも充実しており万全。ヤクルトは野手の外国人2人(オスナ、サンタナ)が安定しており、山田も今年はコンディションが良さそう。リリーフはいいので、あとは先発陣を立て直せるか。投手力を強化した巨人が、優勝争いに加わってくる。

 【若菜嘉晴氏、阪神・手薄な勝ちパターンに新外国人ゲラ】阪神はオープン戦がよくなかったが、新外国人のゲラが使えそう。手薄な勝ちパターンにうまくはまるのではないか。そういう面では今季も1番手かなと思う。2位以降は戦力が変わらない。その中で最下位に予想したが、中日が台風の目になりそうだ。打線が機能すれば投手はいる。中田がどこまで頑張れるかだろう。下克上の可能性はあると思う。混戦で大事なのはスタートダッシュ。そういう点では開幕カードの巨人―阪神が楽しみ。

 【杉本正氏、DeNA・機動力ある度会 新人でも打線の中心】オープン戦を見れば打撃はDeNAが一番。新人の度会は機動力があり、打線の中心も任せられそう。今永が抜けた先発に不安はあるが、チーム全体のバランスは取れている。2位にした巨人は3年連続でのBクラスは避けてほしいという願望もある。広島は意外性があり、Aクラスの力はある。優勝した翌年というのは反動はつきものだ。続けて勝つのはなかなか難しい。阪神は開幕前の戦い方が少し、ちぐはぐに見えたので5位とした。

 【岸川勝也氏、巨人・オドーアあとは“タイミングと慣れ”】オープン戦を見る限り巨人は坂本、丸の状態は悪くない。新外国人のオドーアはあれだけ振れればシーズンでは打ちそうな気はする。あとはタイミングと慣れだけだろう。阿部新監督の就任で選手も新鮮な形でシーズンに入れる。菅野の球速が戻っているのもプラスだ。阪神は投手陣がいいと思うし、不安材料は岩崎の球威くらいか。やりくりはできそうだ。中日は中田の加入でビシエド頼みから脱却できる。打線は組みやすくなったと思う。

 【松田宣浩氏、巨人・泉口に佐々木「新しい風」吹いている】就任1年目の阿部監督は「新風」のスローガンを掲げました。ルーキーの泉口選手、佐々木選手といった新戦力を使い、文字通り“新しい風”が吹いていると感じます。坂本選手、丸選手と主力の存在も大きく偏りがありません。昨季、優勝した阪神の2位予想はスタメンと控え選手の差が少しあると考えたからです。ケガ人が怖い。3位にしたDeNAに“熱男”っぽい選手が加わりました。度会選手。力は間違いなくあるので楽しみです。

 《阪神「平均値」5.39点》スポニチ評論家23人によるセ・リーグ順位予想で「平均値」を算出した。1位=6点、2位=5点、3位=4点、4位=3点、5位=2点、6位=1点で計算。トップは阪神の5.39点だった。昨年の4.92点から大幅にアップ。1位予想の数も11人→14人に増えた。2位は巨人の4.91。Aクラスを争う3位・広島の3.48点と4位・DeNAの3.00点は0.48点差。中日は唯一の1点台だった。

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