【2014年センバツ 岡本和真世代】史上19人目の1試合2発鮮烈デビューも…田嶋との大物対決敗れる

[ 2024年3月18日 07:20 ]

<三重・智弁学園>初回2死、中越えに先制弾を放ち、ガッツポーズする智弁学園・岡本和真。岡本はこの試合センバツ史上19人目となる1試合2本塁打
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 第96回選抜高等学校野球大会(センバツ)は18日、いよいよ第1試合(10時30分~)の八戸学院光星(青森)―関東一(東京)で幕を開ける。今大会は一般選考29校、21世紀枠2校、神宮大会枠1校の計32校が選考され、13日間の熱闘を繰り広げる。早春のセンバツは世代を代表するスター選手たちが最上級生で迎える大舞台でもある。「〇〇世代」として春の甲子園を沸かせた選手たちの特集。最終回となる第13回は2014年の「岡本和真世代」。(構成 浅古正則)※敬称略

 ■岡本和真(智弁学園=奈良)

 昨年のWBCで日本代表を世界一に導いた右の大砲。岡本和真が憧れの甲子園の土を踏みしめたのは2014年春だった。高校通算57発、関西屈指のスラッガーは1回戦三重戦で大噴火した。初回の第1打席、三重の先発左腕・今井が3―2から投じた高めに浮いた変化球をバックスクリーンに運んだ。第2打席は中前打。第3三打席は左翼にこの日2本目の本塁打を放ち4打数3安打、2本塁打、2打点と鮮烈な甲子園デビューを果たした。史上19人となる1試合2発を振り返り「甲子園は広い球場なので(ダイヤモンドを)回っていて気持ち良かった」。

 2回戦の相手は大会NO・1左腕といわれた佐野日大(栃木)の田嶋大樹。投打の大物対決となったが、初回の第1打席は左飛。4、6回の好機では低めにボールになるスライダーと、意表を突いた内角直球でともに三振に仕留められた。同点の9回からはマウンドに上がった。延長10回、先頭打者に安打を許すと、四球と野選で無死満塁に。気迫で2者連続三振を奪ったが、最後は直球を左前に運ばれ力尽きた。2年生でプロ注目の広岡大志(15年ヤクルト2位)は2試合で9打数3安打だった。夏に出場も1回戦で明徳義塾(高知)に大敗した。同年秋巨人1位。

 ■田嶋大樹(佐野日大)

 投の主役、田嶋も鮮烈な甲子園デビューを飾っている。1回戦、鎮西(熊本)戦で毎回の12奪三振で完封勝利。2回戦で岡本を4打数1安打に抑え込みベスト8に進出した。準々決勝も延長の死闘になった。3回までに4―1とリードしながら試合巧者の明徳義塾に揺さぶられ6回に4点を失い逆転される。7回に1点を奪って2試合連続の延長へ。11回2死満塁から内野安打で勝ち越し、最後は田嶋が3者凡退に抑え逃げ切った。準決勝は古豪・龍谷大平安(京都)の2年生左腕・高橋奎二(15年ヤクルト3位)と投げ合った。2回に1発を浴びるなど3失点。その後も小刻みに得点を許し、8失点完投。4試合で560球、悔しさをかみしめ甲子園を去った。一方、高橋は1失点完投勝利。龍谷大平安は紫紺の大旗を手にした。

 田嶋は夏の栃木大会決勝で作新学院に敗退した。プロ志望届けを出さずJR東日本入り。17年ドラフトでオリックスから1位指名された。
 《浅間大基、高浜祐仁、渡辺佳明、伊藤将司(横浜)》前年秋の関東大会で田嶋擁する佐野日大に敗れた横浜(神奈川)だが、超高校級選手を複数揃える優勝候補だった。1番の浅間は強肩強打の外野手。4番の高浜、5番の渡辺も長打力があり、エースの伊藤は田嶋と並び大会屈指の左腕として注目された。だが初戦の八戸学院光星(青森)戦、伊藤が乱れる。集中打を浴びて3回途中で6失点KO。浅間、高浜、渡辺は3人揃って2安打を放つが完敗した。夏は神奈川大会準決勝で東海大相模に敗退した。浅間は同年秋日本ハム3位、高浜も日本ハム7位。渡辺は明大を経て18年楽天6位。伊藤は国際武道大、JR東日本を経て20年阪神2位。

 ■東妻勇輔(智弁和歌山)

 2度目のセンバツ制覇を狙う強豪の救援エース東妻にとって甲子園は残酷だった。02年夏の決勝の再戦となる明徳義塾との対決。延長15回裏、明徳義塾の攻撃。マウンドには3イニング目になる東妻がいた。1死満塁緊張の場面。投じた1球は暴投となり痛恨のサヨナラ負け。三塁走者が本塁を駆け抜けると東妻は天を仰いだ。「低め低めを意識しすぎて最後は(ボールが)引っかかってしまいました」。夏は和歌山大会決勝で市和歌山にサヨナラ負け。救援の東妻にとって高校最後のマウンドも厳しいものになった。日体大を経て18年ロッテ2位。

 ■岸田行倫(報徳学園=兵庫)

 正捕手で4番で救援投手。“三刀流”の大黒柱が悔しすぎる敗戦を味わった。2回、打者のバットにミットを当ててしまう打撃妨害を犯し、これが唯一の失点。痛恨のミスとなってしまった。4番としても初回の好機で凡退するなど、4打数無安打。それでも5回途中からの救援登板では4回1/3を1安打無失点、6三振を奪った。夏は兵庫大会5回戦で社に敗れた。高校日本代表では3番打者。4番は現在のチームメート岡本和真だった。大阪ガスを経て17年巨人2位。

 ■伊藤優輔(小山台)

 21世紀枠で春夏初出場の小山台。エースは出場校中トップの奪三振率9・30を誇る伊藤。前年秋の大阪大会覇者の履正社に立ち向かった。最速137キロの直球とスライダーで8三振を奪ったが強力打線の重圧から10四死球。2回には満塁本塁打まで浴びて11失点。。「ボールより気持ちをコントロールできなかった」。悲願の都立1勝には届かなかった。夏は東東京大会準々決勝で敗退した。中央大、三菱パワーを経て20年巨人4位。

 ○…“岡本世代”の1学年下だが、昨年のWBC世界一メンバーである伊藤大海(日本ハム)も同大会に出場している。9年ぶりの出場となった駒大苫小牧(北海道)、背番号15の2年生。1回戦の創成館(長崎)戦で3安打7奪三振の完封勝利を挙げた。履正社(大阪)との2回戦では3回途中から3番手として登板し、1点リードの9回痛恨の逆転サヨナラ負け。「エース番号を背負って戻ってきたい」と誓ったが、これが甲子園最後の雄姿となった。


 【14年選抜に届かなかった“岡本世代”主な選手(秋季大会成績)】中野拓夢(日大山形=東北大会準々決勝敗退)、栗林良吏(愛知黎明=愛知県大会1回戦敗退)、清水昇(帝京=東京都大会1回戦敗退)、頓宮裕真(岡山理大付=岡山県大会3位決定戦敗退)、中川圭太(PL学園=近畿大会1回戦敗退)、松本裕樹(盛岡大付=東北大会2回戦敗退)、辰己涼介(社=兵庫県大会3位決定戦敗退)、高橋光成(前橋育英=群馬県大会2回戦敗退)、松本航(明石商=兵庫県大会準々決勝敗退)

=終わり=

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