【2012年センバツ 大谷世代】藤浪から初打席弾も…四死球11の“夜明け前” 不出場組も凄過ぎだった

[ 2024年3月18日 07:15 ]

<花巻東・大阪桐蔭>2回裏無死、大阪桐蔭・藤浪晋太郎(右)から右越えに先制ソロを放つ花巻東・大谷翔平
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 第96回選抜高等学校野球大会(センバツ)は18日、いよいよ第1試合(10時30分~)の八戸学院光星(青森)―関東一(東京)で幕を開ける。今大会は一般選考29校、21世紀枠2校、神宮大会枠1校の計32校が選考され、13日間の熱闘を繰り広げる。早春のセンバツは世代を代表するスター選手たちが最上級生で迎える大舞台でもある。「〇〇世代」として春の甲子園を沸かせた選手たちの特集。第12回は2012年の「大谷世代」。(構成 浅古正則)※敬称略

 ■大谷翔平(花巻東=岩手)

 「みちのくのダルビッシュ」と称された大谷にとってセンバツは初出場。開会式当日の第3試合。強豪・大阪桐蔭との対戦だった。あの未曾有の被害をもたらした東日本大震災から1年後。被災地へ勝利を届けたい。東北の思いを背負って聖地に立った。2回、センバツ初打席で藤浪晋太郎のスライダーを豪快に右翼席に運ぶと、スタンドがどよめいた。「真っすぐに張っていたので遅い球に体が反応しました」

 高校通算37号。バットで足跡は残すことはできたが、マウンドではあえぎ苦しんだ。左股関節のケガが長引き、本格的に投球を再開したのは大会2カ月前だった。公式戦登板は前年夏の甲子園、帝京(東東京)戦以来、227日ぶり。最速150キロを計測したが直球は高めに浮き、スライダーは抜け球が目立った。「インステップしていて、投げる瞬間に体が一塁側に倒れてしまっていた」。故障から復帰後は最長で6イニングしか投げたことがなく、握力が落ち始めた6回に逆転を許した。7回には4番・田端に左翼席まで運ばれてしまう。11三振を奪う一方、与えた四死球は11。「自分のせいで流れを悪くしてしまった。(出来は)20点から30点くらい。自分の実力不足。被災地にどうしても1勝を届けたかった。自分のせいで申し訳ない」。夏は岩手大会決勝で敗退。怪物・大谷の甲子園での雄姿はこれが最後となった。同年秋ドラフトで日本ハム1位指名。

 ■藤浪晋太郎・沢田圭佑(大阪桐蔭)

 初戦で大谷との「ダルビッシュ2世」対決を制した藤浪は2回戦で大谷のお株を奪う“二刀流”の活躍でスタンドを沸かせた。九州学院(熊本)戦で9回3失点、146球の完投勝利。7回にはバックスクリーン左へ自身公式戦初アーチをかけた。「びっくりした。自分は打撃に自信がないので。直球1本に張っていてたまたま当たりました」。浦和学院(埼玉)と対戦した準々決勝では沢田が先発。5回を1失点。6回からリリーフした藤浪が4回1失点。チームは逆転勝ちした。準決勝は2年生捕手・森友哉(13年西武1位)の決勝弾で健大高崎(群馬)を撃破。決勝では光星学院(現八戸学院光星=青森)に完勝。藤浪の2連続完投で紫紺の大旗を手にした。夏も快進撃。春夏連覇を成し遂げた。藤浪は同年秋阪神1位。沢田は立大を経て16年オリックス8位。

 ■田村龍弘・北條史也(光星学院)

 前年夏の甲子園で準優勝。前年秋の神宮大会を制し、優勝候補として乗り込んできた光星学院の主軸は3番捕手・田村と4番遊撃手の北條。1回戦北照(北海道)戦を田村の犠飛と北條の2点二塁打で突破すると2回戦は北條の3安打4打点の活躍で近江(滋賀)を撃破。準々決勝は愛工大名電(愛知)の大会NO・1左腕、浜田達郎を打ち砕いた。準決勝関東一(東京)戦では田村が春夏甲子園2000号となるメモリアル弾。田村は決勝で藤浪から3安打、北條も2本の二塁打を放ったが優勝には届かなかった。夏も決勝に進出するも大阪桐蔭の前に屈した。田村は同年秋ロッテ3位。北條は同阪神2位。

 ■柳裕也(横浜)

 名門・横浜(神奈川)のエース柳は1回戦で高知を3安打完封。2回戦では聖光学院(福島)相手に1失点完投勝利。6回には左翼へ甲子園1号を放ち名将・渡辺元智監督に通算50勝を贈った。準々決勝、関東一戦では同点の9回に降板「せっかく追いついてもらったのに自分が打たれ申し訳ない」と唇を噛んだ。夏は神奈川大会準々決勝敗退。明大を経て16年中日1位。

 ■浜田達郎(愛工大名電)

 大谷、藤浪とともに「大会ビッグ3」と称された浜田。1回戦、宮崎西戦で95球、14奪三振、無四球のマダックスを達成。20年ぶりの快挙だった。2回戦は履正社(大阪)相手に2失点完投勝利。準々決勝は光星学院に5失点で敗北した。2年生の東克樹(17年DeNA1位)はベンチ入りも登板機会はなかった。夏の甲子園は初戦敗退。同年秋中日2位。

 ■西川龍馬(敦賀気比)

 開会式当日第2試合で浦和学院と対戦した。主将の西川は3番・遊撃で先発出場。第1打席四球も3打席無安打に終わった。チームは2―10の大敗。「レベルの差を感じた。相手はどんどん振ってきたが自分たちは積極性がなかった」と悔やんだ。夏は福井大会準決勝敗退。王子を経て15年広島5位。


 【2012年選抜に届かなかった“大谷世代”主な選手(秋季大会成績)】鈴木誠也(二松学舎大付=東京都大会3回戦敗退)大山悠輔(つくば秀英=茨城県大会2回戦敗退)近本光司(社=兵庫県大会3位決定戦敗退)木浪誠也、京田陽太(青森山田=東北大会準決勝敗退)矢崎拓也(慶応=神奈川県大会準々決勝敗退)佐野恵太(広陵=広島県大会2回戦敗退)田中正義(創価=東京都大会1回戦敗退)

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