「韓国野球の伝え手」が見た大谷翔平 本当にいたんだ…“神”の登場に誰もが言葉を失った

[ 2024年3月18日 02:30 ]

エキシビションゲーム   ドジャース14-3韓国キウム ( 2024年3月17日    韓国・ソウル )

<キウム・ドジャース>整列し笑顔の大谷、山本(撮影・光山 貴大)
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 長く韓国野球を取材し、「韓国プロ野球の伝え手」として知られるジャーナリストの室井昌也氏(51)が17日、現地でドジャース―韓国キウムのエキシビションゲームを観戦した。大谷翔平投手(29)に注がれた特別な視線に驚きを隠さず。韓国球界を知り尽くす同氏が「特別」と感じた要因をスポニチ本紙に語った。(取材・構成 後藤 茂樹)

 驚かされました。大谷選手が打席に向かうと、場内がシーンとなった。通常より10倍以上の値段のチケットを求め、多くの方が口にしていたのは「一生に一度のことだから」。それだけ思う大谷選手を実際に初めて目にして、場内全体が一瞬言葉を失っていました。

 本当にいたんだ――。そんな感じだったと思います。伝記に出てくる人物のような、どこか神格化した視線を感じました。仮に朴賛浩(パク・チャンホ)ら過去の大リーグの韓国出身レジェンドの凱旋試合ならば、大変な盛り上がりだったと思います。でも、全く違う異質な反応でした。

 日本のファンは高校、日本ハム時代など彼のプロセスを知っています。でも韓国では熱心な野球ファンを除けば、存在が認知されたのはメジャー挑戦し、二刀流で確固たる地位を築いてから。どこかおとぎ話のような伝わり方をして、急に心をつかまれたのです。韓国人は日本人よりも世界に出る人が多く、留学にも熱心。世界で成功することの大変さを知る人も多いです。

 これが日本なら、4回の打席で代打が告げられた際に「何だ、2打席かよ」という感情が充満したかもしれません。でもそんなところはなく、「生で見られて良かった」という空気が支配しました。

 選手や球界関係者から聞く言葉は「リスペクト(尊敬)」の一言に尽きます。昨年3月のWBCの日韓戦。試合前に大谷選手の打撃練習を、選手みんながニコニコしながら見ていました。以前なら、そんな態度をしていたら先輩に叱られたものですが、変わったなと。

 「憧れるのをやめましょう」の逆ですよね。でもその先輩たちが率先して見入っていた。今日対戦した選手の中には「一生に一度」という思いで臨んだ選手もいると思います。リスペクトを根底とした憧れ。それが韓国民の、この特別な視線を生むのだと思います。

 ◇室井 昌也(むろい・まさや)1972年(昭47)10月3日生まれ、東京都出身の51歳。02年から韓国プロ野球の取材を行う。「韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑」を04年から毎年発行し、韓国では06年からスポーツ朝鮮にコラムニストとして韓国語で執筆。KBOリーグで記者証を発行されている唯一の外国人。ストライク・ゾーン代表。

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