だから阪神のジェット風船復活は難しい…障壁になる2大問題とは?

[ 2023年7月12日 12:00 ]

甲子園にこの光景は戻ってくる日は…
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 コロナ禍を境にして、甲子園名物のジェット風船が姿を消した。スタンドが鮮やかな色彩に染まる光景は、記者席から見ても幻想的だった。ラッキーセブンや勝利の瞬間の風物詩の復活を望むファンの声を感じながら、球団関係者に聞くと、実現への道のりは相当険しいのではないかと感じている。

 最も大きな障壁は衛生上の問題だ。口で膨らませた風船が、不規則な動きで飛び回る。なじみが薄かった「飛沫」や「エアロゾル」といった専門用語が浸透したアフターコロナの世界では、世間の理解を得るのは難しいだろう。そもそも、コロナ以前から、不快さを訴える声は挙がっていた。衣服に落ちたり、弁当の上に落ちたり。かく言う私も、小学校時代にネトっとしたものが頭に付き、すごく嫌な思いをした。

 対策がないわけではない。広島は6月28日DeNA戦で4年ぶりに「スカイジェットバルーン」を復活させた。口で膨らますことができない仕様の風船で、専用の空気入れを使って飛ばした。ソフトバンクも続く。15日から、ポンプ付きのジェット風船を解禁させる。両球団の動きから、「衛生問題」はクリアできるように見える。しかし、甲子園にはもう一つの課題が横たわる。

 飛び上がった数万個の風船の一部は、風に流されて球場外へ。路上に落ちた色とりどりの残骸は、華やかなイベントの影の部分だ。ヤクルトは、ゴミ問題を理由の一つとして09年にジェット風船を使った応援を禁じた。時代は「SDGs」、持続可能な社会の実現。環境に配慮した施策を広く打ち出している阪急阪神グループが、刹那的な盛り上がりが生む負の遺産を、「もう1度やろう」となるだろうか。だからといって、ジェット風船を復活させる球団が環境に配慮していないわけではないので、あしからず。

 MBS(毎日放送)のサイトでは、「ジェット風船の誕生秘話」を読むことができる。なんでも広島が元祖だそうで、1978年5月13日、甲子園での阪神戦で、広島選手が本塁打を打った際にジェット風船が飛んだそうだ。それから40年以上が経過した。ファンに広く浸透し、プロ野球の応援文化を彩ったものの、その役目を見直す時期に来ている。

 阪神は今、LED照明を使った光の演出に力を入れている。勝利後はペンライトの使用を推奨している。次の40年に向けたベストな応援方法とは?地球に配慮した形を求められることは、間違いない。(倉世古 洋平)

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2023年7月12日のニュース