広島・安部友裕 「覇気」をまとって連覇に貢献のシリーズ男「やり切ったので未練はない」

[ 2022年12月30日 05:00 ]

17年は規定打席に到達するなど広島連覇に貢献した安部

 惜しまれつつ引退するベテランもいれば、思うように活躍できずに現役を終える若手もいる。2回に分けて紹介する、年末恒例の「惜別球人」の第2回はセ・リーグ編。プロ生活の経験や思い出を胸に、新たな道へ進む野球人に、幸あれ。

 【広島・安部友裕】リーグ2連覇を決めた17年9月18日の阪神戦。貴重な追加点に結び付く4回先頭打者での右ふくらはぎへの死球が、安部の野球人生に微妙な影を落とした。翌年春に腰痛を発症。「そこからなのか何なのか急に。それからパフォーマンスががた落ちした」と振り返る。

 確かな輝きを放っていた。17年は規定打席に初到達し、リーグ4位の打率・310をマークして2連覇に貢献。翌18年にはソフトバンクとの日本シリーズ第3戦で、鈴木誠也(現カブス)とともに2本塁打を放った。当時はお立ち台で「覇気」を連呼。1試合で2選手の2発は、シリーズ史上初だった。

 現役続行を希望し、11月8日の12球団合同トライアウトに参加したものの、5日後の13日には現役引退を決断した。「獲ってくれる球団がなかった。結果を含めて力不足。それだけです。やり切ったので未練はない」と語った。

 現在は、広島でテレビ番組やイベントなどに多数出演。「引退直後だから。数年後に需要があるかといえばそうではない」と冷静に自己分析し、来春の起業を目指して準備を進める。「子供たちの野球指導に関わりたい。社会、地域貢献への思いを形にできれば」。33歳。覇気を放って第二の人生に挑む。

 ◇安部 友裕(あべ・ともひろ)1989年(平元)6月24日生まれ、北九州市出身の33歳。福岡工大城東では2年夏の甲子園でベンチ入り。07年高校生ドラフト1巡目で広島入団。今季は10年以来12年ぶりの1軍出場なし。1メートル81、88キロ。右投げ左打ち。

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