【畑野理之の理論】打つしかない…一塁と三塁を守る北條の今

[ 2021年2月15日 08:00 ]

室内でノックを受ける阪神・北條(撮影・大森 寛明)
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 広島戦は降雨中止となったが、スタメンは発表されていた。

 きょうも7番で三塁だったのか…。北條です。7日の紅白戦こそ二塁を守ったが、4日の紅白戦が一塁、9日の日本ハム戦は途中出場で一塁→三塁、12日の紅白戦も一塁。キャンプインから見てきたが練習でもほとんど二遊間は守っていない。

 練習を見ていれば、だいたいの構想は見えてくる。例えば佐藤輝が左翼、右翼、そして三塁で守備練習するように、ほとんどの選手が複数ポジションの準備を進めているが、固定されている選手もいる。三塁の大山や中堅の近本がそうで、ほぼ確定的なのだろうし、異論を言う人もいないだろう。そして、そこに近いのが遊撃・木浪だ。おそらく、首脳陣はレギュラー手前くらいの存在と位置づけていると思う。

 少なくとも昨年までは北條も遊撃でノックを受けていたし、木浪と競い合っていた。ただ今年はもう二遊間のレギュラー候補から外されたところからのスタートとなり、木浪のライバルも小幡や新加入した山本、そして6位新人の中野らだ。北條が守る一塁と三塁はサンズやマルテ、大山らで、競争相手はかなり強敵だと言わざるをえない。

 矢野監督は全ポジション白紙の方針を打ち出しており、勝手に決めつけるなと北條ファンからは怒られるかもしれない。ここは北條を応援するコラムでもないので、付け加えるなら、木浪も今のリードをしっかりとキープしてほしいとも思う。

 第2クールでは北條が一塁の特守を行っていた。久慈、藤本、臨時コーチの川相氏から指導された。走者一塁を想定したピックオフプレーや、ベースに付いたところからのポジショニング、ゴロを捕球しての二塁送球など三塁や遊撃では決してしない動きを確認し、繰り返していた。

 真新しい一塁ミットは大山からの借り物で、まだ硬いので慣らしておいてと言われたらしい。「このミットは何でも入るなあ、ええなあ」など笑顔も見えたし、持ち前の明るさは消えていない。ユニホームを泥だらけにして取り組んでいる姿を見ながら、悔しいだろうなあ、遊撃で勝負したいだろうなあと本音を推測もした。現評価を逆転するには、誰よりも打つしかないのかな。ポケットの小さな内野手用のグラブをはめて試合出場するときに、今の時期の心境を聞きに行こう。(専門委員)

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2021年2月15日のニュース