広島「完全分離キャンプ」ケムナに直撃 日南出身も恒例エール聞けない…

[ 2021年2月15日 05:30 ]

18年、日南キャンプで地元出身のケムナ(中央)は、母・陽子さん、父・ブルースさんに出迎えられる
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 【新様式キャンプリポート最前線】広島の新様式キャンプ最大の特徴は、1軍が沖縄市で1カ月間完走することである。例年は宮崎・日南で1次キャンプを行い、2月中旬から沖縄に移動。新型コロナの移動リスクを最小限に抑えるため、1軍が沖縄、2軍が日南を拠点とする完全分離が導入された。

 その影響で心が癒やされない投手が沖縄にいる。米ハワイ州で生まれたケムナは、5歳から日南市に移住した。実家はキャンプ地・天福球場から徒歩15分の位置にあり、幼少期は広島の練習に通い詰めた。

 「あの子供の声が聞けないのは寂しいですよね。毎年言ってくれていたので…」

 キャンプ初日の歓迎式典で、地元の少年少女からエールを送られるのが恒例だった。新人だった18年は「最後に緒方監督にお願いがあります。日南出身のケムナ選手をよろしくお願いします」と子供がかわいらしく頭を下げると、「鉄仮面」で知られる指揮官も思わず表情を崩した。

 連日、天福球場の観客席から練習を見つめていた父・ブルースさんは、息子が中継に映る瞬間を逃すまいとテレビにかじりつく日々だ。ケムナは「お父さんが一番寂しいと思う。不安なのか、めちゃくちゃ電話がかかってくる。第三者から見た感想を伝えてくれます」と明かす。学生時代に熱心に技術指導を受けた関係性は、今も変わっていない。

 「寂しさはないです。友達とか応援をしてくださる方が球場に来てくれることが力になっていたけど、コロナを考えれば仕方ない」。年末年始に実家に帰省し、心の充電は済ませている。(広島担当・河合 洋介)

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2021年2月15日のニュース