【内田雅也の追球】「バンバン」で奪ったアウト――阪神守備陣が見せた間一髪のプレー

[ 2020年6月4日 07:30 ]

練習試合   阪神10―3広島 ( 2020年6月3日    甲子園 )

<練習試合 神・広>4回、二盗を試みたピレラ(左)をタッチアウトにする植田(撮影・北條 貴史)
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 「バンバン・プレー」のバンバンは擬音語だ。野手が送球を受ける際にミットやグラブで鳴るバン!という捕球音と、走者がベースを踏む時のバン!という着塁音でバンバン!!というわけだ。アメリカの俗語で、間一髪のプレーを言う。

 本来はフォースプレーで使われる言葉だ。ここではタッチでもバンという音がするとして含め、阪神守備陣が奪ったいくつかのバンバン・プレーを書きたい。練習試合とはいえ、貴重なアウトでピンチを防ぎ、勝利につなげた。

 順にあげていく。

 ▼2回表先頭、二塁手・植田海は西川龍馬の一、二塁間ゴロを横っ跳びで追いつき、一塁で刺した。回の先頭であり、先発ジョー・ガンケルを助ける好守だった。

 ▼4回表1死一塁。ホセ・ピレラの二盗を阻んだのは二塁カバーに入った植田の好タッチだった。ハーフバウンドの難しい送球を逆シングルで好捕し、早く鋭いタッチでアウトにしてみせた。

 内野守備走塁コーチ・久慈照嘉が監修、矢崎良一著『遊撃手論』(PHP研究所)にもある「直下型」のタッチだった。久慈は「タッチ一つでチームを救える」と語り、同書でも伝えている。

 0―0均衡の中盤で打席は4番・鈴木誠也だった。つまり意味のあるアウトだった。

 久慈は恐らく、植田の派手な横っ跳びよりも、地味なタッチを評価したのではなかろうか。

 ▼6回表2死三塁、西川の三遊間寄りゴロを三塁手ジェフリー・マルテが出足よくさばいて、刺した。2―2同点とした直後、勝ち越し点を防いだことで、裏の大量7点の攻撃につながった。

 ▼7回表無死一塁。長野久義の中堅右への安打に中堅手・近本光司は素早く回り込み送球、植田との好中継で打者走者を二塁で刺した。

 これだけ間一髪のアウトを奪えれば、さすがに試合は締まり、勝利も転がりこんでくる。本拠地・甲子園球場は広く、本塁打の出づらい。内野は難しい土のグラウンドだ。阪神の野球はいつの時代も守備力が物を言う。

 最後に気になった点を一つ。実はバンバン・プレーは他にもあった。遊撃手・木浪聖也がさばいた遊ゴロで1回表の田中広輔、3回表の堂林翔太はともに間一髪だった。アウトはアウトなのだが、打者走者の足を考えてもヒヤリとした。守備位置が深いのか、前への出足が遅いのか。この辺は久慈が先の書で語る「感覚」の問題だろうか。久慈は「頑張れば覚えられる。その感覚を僕は今、教えようとしているんです」と語っている。今後に期待したい。

 野球は詰まるところ、間一髪の勝負だ。バンバンを制した者が勝つ。=敬称略=(編集委員)

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