広島・誠也 実戦型「両手スイング」で開幕意識「ごまかされない打ち方を極めたい思いもある」

[ 2020年5月8日 05:30 ]

打撃練習をする広島・鈴木誠也
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 広島・鈴木誠也外野手(25)が7日、6月末~7月上旬の開幕を想定し、諸準備を進めていることを明かした。打撃練習では実戦さながらに“両手スイング”を繰り返し、筋力トレーニングでも限られた時間で腕、背中、脚などを満遍なく強化。1勤1休でも練習が許される環境に感謝しつつ、主砲は高い意識で創意工夫を続ける。

 1勤1休のペースでわずか120分。限られた練習時間の中で、鈴木誠は丁寧にスイングを繰り返した。フリー打撃はもちろん、ティー打撃でもインパクト後に右手をグリップから離さず、両手でバットを振り抜く。今春から新たに取り入れた練習法だった。

 「練習では体を大きく使おうと考えて、右手を(バットから)離していましたけど、それって自己満足だな…と。試合では元々離さないので、実戦により近づけようと思って」

 試合では、プロ入り当時から一貫して両手スイングだった。13年9月16日、巨人戦でマークしたプロ初安打しかり。右手の押し込みと強烈なスイング速度に定評があり、昨季放った28本塁打のうち、右手を離して打ったのは2本にすぎない。

 一般的に右打者は右手、左打者は左手を離す方がインパクト速度は増す。が、主砲には関係ない。「手を離すと気持ちよく振れ、ごまかして打てたりもするので、ごまかされない打ち方を極めたい思いもあって」。求道者らしい工夫だった。

 グラウンド外での準備も怠りない。トレーナーと話し合い、6月末から7月上旬の開幕を想定して汗を流すウエートトレーニング。通常は下半身のメニューが多めだが「今はもう全部。(時間が限られている分)できるだけ詰めて多めにやっています」と説明する。

 新型コロナウイルスの感染拡大で6月以降に延期された公式戦。4月23日の12球団代表者会議では、開幕しても当面は無観客で開催する方向で一致した。まさに未曽有の事態。主砲は表情を曇らせながら言葉を選ぶ。

 「お客さんが入る方がモチベーションは上がる。そこは(無観客とは)絶対に違う。ただ、そんなことを言っている場合じゃない。感染したら、命にかかわる問題なので…」

 先の見えない苦境にイラついても仕方がない。「練習できるだけでありがたい」。与えられた環境で工夫し、ベストを尽くす――。25歳の主砲は地に足をつけて準備を進める。(江尾 卓也)
  

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