侍ジャパン稲葉監督語る、「プレミア12」全勝優勝へ 坂本ら「核となる」キーマン4人軸に結束

[ 2019年10月22日 09:30 ]

野球の日本代表の激闘を示す写真の前で頂点を目指すことを誓った稲葉監督(撮影・西海健太郎)
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 11月2日からの国際大会「プレミア12」に臨む侍ジャパンの稲葉篤紀監督(47)が、スポニチ本紙のインタビューに答えた。来夏の東京五輪の金メダルという最終目標のために09年の第2回WBC以来、10年ぶりとなる国際大会のタイトルへ必勝を掲げる。ここ数年、代表に不足していた核となるキーマンに松田宣浩内野手(36)、坂本勇人内野手(30)、秋山翔吾外野手(31)、菊池涼介内野手(29)を指名。4人を軸にチームをまとめ、全勝優勝を目指す。(取材・構成 後藤 茂樹)

 ――09年の第2回WBCを最後に、トップチームの国際タイトルからは10年間遠ざかっている。勝てなかった理由をどう思うか?
 「核となる選手が少なかったな、と思います。例えば09年はイチロー選手がいて、城島選手、福留選手、岩村選手、松坂選手。メジャーに行っていた選手が集まり、核となりまとめていた。08年の北京五輪では宮本さんが、13年のWBCでは阿部選手がキャプテンとして一人で頑張ってくれたが、周りを支え固める選手が少なかった。私はサポート役でしたが、チームの核ではなかった。今回を見ると、松田選手、坂本選手、秋山選手、菊池選手というこの4人。核となる選手がいます。いいチームができたと思っています」

 ――実際にいいチームとなるかは、これからの合宿、大会期間中次第。どうつくっていくのか?
 「やはりコミュニケーションが大事。私はどちらかと言えば、選手寄りというか。友達ではダメですが、先輩後輩という間柄の延長線でいいのではないかと。私は監督を胴上げするために頑張っていた。そうさせるのも監督の仕事だと思う。選手がチームのために頑張ろうと、自分で動いてくれる。そこには信頼関係が大事だし、そういう監督でありたいと思う。最後は技術とかどうのこうのではなく気持ちで動くので」

 ――1次ラウンドの結果は、スーパーラウンドにも持ち越される。1次ラウンド3試合は全て勝ちたい。
 「もちろん台湾での3試合は絶対に勝ちにいくところ。大会方式を見れば五輪よりもプレミアの方が全ての試合の勝敗が直結してしまう。全て負けられない。全勝と言うと自分の首を絞めてしまいますが、一つ一つ一戦必勝でいきたい」

 ――先発投手についての考えは?
 「今は4枚で考えています。1次ラウンド3試合と(スーパーラウンド初戦の)千葉の1人。3人で回せるかもしれないので、負担や状態を見て決めたい」

 ――山本に関しては先発、中継ぎ、抑えも、と話していた。
 「どちらかといえば、後ろですかね。抑えは山崎選手にも長くやってもらっています。当然彼も含め、状態や打者の右左や、バットの軌道なども含め、何が合うか見て決めたい。どんな形で終盤まで抑えられるか、次の試合に生かせる締め方は凄く大事」

 ――シーズン中の視察では坂本勇の三塁も選択肢として示唆した。
 「真剣に、というよりは練習でやってもらおうと。非常時を考えて井端コーチにお願いします。現状はショートで考えていますが、来年の五輪を見据えてコーチとも話して坂本選手の三塁がある、という判断であれば、来年のことも含めやっておいてもらえないかと本人に伝えます」

 ――打線に関してはどう考えているか?
 「いろんなパターンを、今なら10通りぐらい考えています。いつも試合前は毎晩打順で迷います。面白く楽しみな部分でもあるんですが、選手が戸惑いなくやれるようにしたい。ジグザグにはしたいが、左打者はあまり多くない。僕の勝手なイメージでは4番は右の長距離砲というイメージがある。DHのある打線では9番も大事。相手チームを見ながら、点数が欲しい試合では2番に打てる選手を、1点勝負ではしっかり送れる選手をと、いろいろ選択肢はある」

 ――プレミアは五輪出場権が懸かるが、日本は開催国枠で既に持つ。優勝することで得られるものは多いが、何を最も得たいか?
 「自分自身の成長でしょうね。選手には勝つためにどうすればいいのかを一番に考えてほしい。その中で五輪へ向け、私自身の成長を一番得たいところかなと。大会の中で、こういう伝え方がいい、五輪ではこうした方がいいと絶対に出てくる。常に勉強の場なんですよ。当然勝つためにやりますが、そういう場にしたいなと思う」

 《取材後記》日の丸指揮官としてラグビー日本代表のW杯ベスト8には目を奪われていた。「選手はどんな気持ちで動いているのか。ラグビーは監督がグラウンドにいない中、あれだけジャパンのために動いている。この気持ちにさせるには、どういうことを言ったら。どうしたら一つになってくれるのか、そういう目線になってしまう」と気持ちを熱くさせた。

 ただ熱くなるだけではなく、それこそ求める理想像の一つでもあった。「野球の代表合宿は短期間。その中でどうまとめられるか。一番の悩みどころ」。17年の就任から踏んだ実戦は決して多くない。経験の少なさは自ら、誰よりも承知している。だからこそ、貪欲にプレミア12の目標の一つに「自分自身の成長」を求めた。常に挑戦者の姿勢で、世界に挑む。

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