阪神、大敗も近本が希望 猛打賞でミスター超え視野146安打 赤星以来の新人30盗塁も到達

[ 2019年9月13日 05:00 ]

セ・リーグ   阪神2―12ヤクルト ( 2019年9月12日    甲子園 )

3回、1死一塁、二塁盗塁を決める一走・近本(撮影・成瀬 徹)
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 無残な敗戦の中、近本が猛打賞の働きで“ミスター超え”を視界に捉えた。7回2死一塁。内角変化球を叩きつけた遊撃内野安打で146安打に到達し、新人では1955年榎本喜八(毎日)と歴代7位で並んだ。

 「得点にはつながらなかったので。一番大きな仕事はできなかった」

 悔しい表情で振り返っても、58年長嶋茂雄(巨人)のセ・リーグ新人最多153安打の偉業へ、また一歩近づいたことも事実だ。3回は山田大の直球を中前にはじき返し、5回1死一塁では高めに浮いたスライダーを中前打。8月4日の広島戦以来30試合ぶりに記録した猛打賞は12度目を数え、新人としては歴代5位に並んだ。猛打賞14度の新人最多記録も58年長嶋で、こちらも十分に圏内だ。

 安打だけではない。足でも魅せた。一塁走者に立った3回は続く福留への初球に二盗。並んでいた中日・大島を抜き、リーグ単独2位の30盗塁へ伸ばした。“大台到達”は球団新人では01年赤星憲広(本紙評論家)以来18年ぶり2人目だ。

 「自分のスタートを決められたら…と思っていた。大きな壁は越えたかなとは思いますけど、残り12試合、一つでも多くチームのために走っていけたらと思う」

 自らの武器を最大限に発揮するため今春キャンプではスパイク用に5種類のインソールを作製。社会人時代の捻挫癖を伝え聞いたメーカーからは足首の負担軽減に役立つクッション性の高いタイプを勧められた。最終的に選んだのは「フィット感がいい」というスパイクとより一体化するタイプ。故障を恐れず、加速性を重視したからだ。

 打って走って躍動してきたレギュラーシーズンは残り12試合。CS進出が厳しくなる中、近本の存在は猛虎の大きな光だ。(長谷川 凡記)

 ▽榎本喜八(えのもと・きはち) 1955年に早実から毎日(現ロッテ)にテスト入団。1年目に打率・298で新人王を獲得するなど入団から15年連続100安打。68年7月21日には史上最年少の31歳7カ月で通算2000安打を達成した。72年に西鉄へ移籍して同年限りで引退。18年間で首位打者2度、通算打率・298、歴代15位の2314安打。求道者的な一面もあり武道を取り入れたトレーニングを行ったり、晩年はベンチで座禅を組むなど風変わりな行動で話題となった。2012年3月14日、大腸がんのため75歳で死去。16年に野球殿堂入り。

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