【キヨシスタイル】三刀流だ 走塁への意識も高い大谷

[ 2016年11月15日 10:20 ]

11日のメキシコ戦で二塁盗塁を決める大谷

 小春日和の日曜日(13日)、長嶋さんの故郷、千葉県佐倉市の岩名陸上競技場で行われた「第3回長嶋茂雄少年野球教室」に講師の一人として参加させてもらった。

 地元の小学生が504人も集まってさ。長嶋さん、張り切ってたなあ。グラウンドを歩き回って子供たちと触れ合い、「よし、いいぞ!」と声を掛ける。80歳。元気な姿に、スタンドの保護者の皆さんも喜んでたな。

 野球界だけじゃない。日本の国全体を元気にしたスーパースター。老若男女に愛され、どんな業界の人も会いたくてしようがない。こんな人、他にいないよ。野球競技が復活する2020年の東京五輪では聖火ランナーをやってほしいし、侍ジャパンの戦いもしっかり見届けてもらいたい。

 その五輪の前哨戦となる来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた侍ジャパン強化試合。不安な部分が目についたね。メキシコ、オランダを相手に4試合で27失点(タイブレークを除く)の投手陣。ローリングス社製の滑るWBC使用球への対応ができてない。メジャーリーガーがどれだけ入ってくるかにもよるけど、人選の見直しが必要なんじゃないかな。

 野手も悪送球が目立った。相手に隙を見せちゃいけない短期決戦。あんなにミスしてちゃ足をすくわれるよ。

 そんな中、またまた規格外のパフォーマンスを見せてくれたのが大谷翔平(日本ハム)だ。右中間スタンド最上段への一発、天井に消えた打球も凄かったけど、仰天したのは走塁に対する意識の高さと脚力だ。11日のメキシコ戦。ボテボテの一ゴロを全力疾走で内野安打にし、二盗を決めた。進塁打で三塁へ進むと、詰まった一ゴロで判断よくスタートを切り生還。足で1点もぎとった。短期決戦じゃ、こういう意識が特に必要なんだ。

 投げて打って走っての“三刀流”侍。その得点能力を考えたら、全試合使ってもらいたい。球数制限のある投手より何打席でも立てる打者。一発勝負で結果を残せる雰囲気を持っているし、3番固定でいい。4番は私の中では筒香。左を並べてもいいと思う。

 長嶋さんがよく言ってたなあ。「野球の伝道師をつくりたい」って。大谷ならなれるかもしれない。 (スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2016年11月15日のニュース