早実・清宮 破壊的弾丸ライナー 二塁手のグラブ吹っ飛ばす

[ 2016年11月15日 05:30 ]

明治神宮野球大会第4日・高校の部準決勝 ( 2016年11月14日    神宮 )

<早実・福岡大大濠>7回無死一塁、2ランを放った野村(左)を早実・清宮(右)が迎える

 高校の部2試合、大学の部2試合が行われた。清宮幸太郎主将(2年)率いる早実(東京)が福岡大大濠(九州)を6―4で下し、80年以来の決勝進出。76年以来40年ぶりの優勝を目指し、15日に履正社(近畿)と対戦する。大学の部は桜美林大が7―1で環太平洋大を下した。ロッテのドラフト1位・佐々木千隼投手(4年)が、8回1死まで無安打無失点の快投に加え、8回には右中間席へソロアーチもマークした。日大は東海大北海道に7―0でコールド勝ちした。

 決勝進出を決め、清宮は一塁ミットをポンと叩いた。40年ぶりの明治神宮大会優勝へ王手。「(4番の)野村がたくさん打ってくれた。自分もその前に出ることができたので、勝利につながったかなと思う」。プロ注目・三浦から1安打4四死球と全打席で出塁した。

 度肝を抜いたのは3回だ。3ボールからの4球目。「そこしか狙っていなかった」と内角に狙いを絞っていた。「(バットの)根っこ。打ち損じたけれど、打球が凄く動いた。自分でもびっくりした」。強烈な打球は清宮シフトとして定位置より深かった二塁手・斎藤を吹っ飛ばすようにして、右翼へ転がった。

 2点目の口火を切る二塁打。11月6日の静清との練習試合で高校通算75号を放ってからノーアーチだが、それでも周囲を沸かせられるのが清宮だ。打球を捕球できなかった斎藤も「無回転のブレ球。グラブに当たって、右手に当たりました。左打者であんな打球初めて見た」と腫れ上がった右手親指を見つめた。

 発奮材料があった。13日、早実ラグビー部が花園予選決勝を戦った。79年ぶりの全国切符を逃したが、清宮は秋季東京都大会優勝後、学校で行われた全校集会で「ラグビー部を応援しましょう」と呼びかけた。父・克幸氏(ヤマハ発動機監督)の影響から幼少からラグビーに親しんできた。「(負けて)悔しかった。ラグビー部の分までという気持ちはある」。そんな思いも背負った。

 荒木大輔(元ヤクルト)を擁して準優勝した80年以来3度目の決勝進出。斎藤佑樹(日本ハム)を擁した05年の4強を超えた。決勝は履正社。清宮と安田、東西の主砲が激突する。高校43発のプロ注目スラッガーについて、「体は自分の方が小さい。でもプライドとか意地がある。力負けしないようにしたい」と闘志。一方で、清宮は平常心も忘れなかった。「次も、ただ目の前の試合を一つ勝つだけという感覚で臨めたらいい」。今年最後の試合を、最高の結果で締めくくる。 (松井 いつき)

 ▼福岡大大濠・三浦(8回12安打6失点)清宮はボール球を振ってくれなくて苦労した。雰囲気が凄かった。

 ≪優勝特典は都選抜で台湾へ≫明治神宮大会高校の部優勝校は、12月に台湾で行われる現地高校トップチームとの親善試合に出場する。優勝校のメンバーを中心に所属地域の選抜チームを結成。仮に早実が優勝した場合は東京都選抜が編成されることになる。高野連関係者は「東京都選抜となる場合は日大三の桜井や金成らがメンバー候補になる」とし、秋の東京都大会を沸かせた選手らによる東京版ドリームチームが見られる可能性が出てきた。

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