【鈴木啓示の視点】三振奪える投手に成長した岩貞 コツは高め直球

[ 2016年4月10日 10:14 ]

<神・広>2回1死、岩貞は新井から空振り三振を奪う

セ・リーグ 阪神2-6広島

(4月9日 甲子園)
 岩貞という投手のイメージが変わった。しっかりと軸足に体重を残し、ゆっくり前方へと体重移動して打者に向かっていくことができていた。体の回転を利用するから、強く腕を振ることができる。塁上に走者を置いた場面では体が突っ込み、変化球が高めに浮く傾向も多少、見られたが、修正していけば問題はないだろう。

 12奪三振の中で最も評価したいのは2回1死、新井から奪った空振り三振だ。直球を軸にカウントを1ボール2ストライクと整え、最後はボールになる内角低めへのスライダーで好調な打者に、まともなスイングをさせなかった。1、2回の4三振は全てボールになる変化球を、4回の丸、6回の会沢には威力ある高めの直球を振らせた。変化球は低めが鉄則だが、直球は意図があるなら高めも有効に使える。三振を奪うコツをつかんだのではないか。

 黒田の姿も印象的だった。4回、左足に打球を当ててマウンドを降りる際に痛がるそぶりを最小限にとどめ、ベンチまで歩いて帰った。この回限りで降板しても、弱みを見せない姿勢はチームに好影響を与える。立派だった。江越に先制2ランを許した場面は新人の高山に初安打を許したことで少しメンタルのリズムが狂ったか。黒田ほどの投手だからこそ、起きうることだろう。

 敗因は2安打に終わった打線。これについては鳥谷、ゴメスをはじめ、計算する選手が調子を上げるのを待つしかない。継投のタイミングや作戦面などに疑問点はないし、金本監督は新人監督とは思えないくらい腹が据わっている。「色」が鮮明に見えるだけに、全く引きずる必要がない敗戦だと付け加えておく。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

2016年4月10日のニュース