工藤監督が色紙に「挑戦」と加えたワケ…予想通り「厳しい戦い」に

[ 2016年4月10日 09:15 ]

<ソ・オ>連敗を止め、コーチ陣と笑顔で握手する工藤監督

 開幕2日前の3月23日だった。日本一3連覇の偉業への挑戦が始まるソフトバンクの工藤公康監督は色紙にペンを走らせた。「見てろよ!挑戦!」。知人に託したそのメッセージの受取人は佐賀県唐津市の玄界灘を臨む小高い丘で眠っている。故・藤井将雄さん(享年31)だ。ダイエーでセットアッパーとして活躍し、チームメートだった指揮官にとっては弟分のような存在であった。

 その色紙を見て1年前との違いに気づいた。昨季開幕前に届けた色紙は「見てろよ!」。「挑戦」の二文字が加わった。「連覇しても挑戦する気持ち」を加えたのだそうだが、チームは日本一3連覇を掲げる王者である。少しだけ感じた違和感は「挑戦」するものではなく、受ける立場だと思ったからだ。スポニチ本紙に掲載された評論家の順位予想も「全会一致」で1位。戦力は図抜けており、私自身も同意見だった。

 工藤監督は開幕前には、そんな下馬評とは正反対の警鐘を鳴らしていた。「(パ・リーグの)他球団が打倒ホークスで来るのは間違いないし、厳しい戦いになると思う」。聞いた時には多分に謙遜がある思っていた。試合をするのは1対1。1対5ではないからだ。だが、いざ、開幕すると9日までの12試合は4勝6敗2分けの借金2と出足は少し、つまづいた。

 この5カードを振り返るとソフトバンク戦に楽天・則本、西武・岸、日本ハム・大谷、ロッテ・涌井、オリックス・金子と5球団がそれぞれ、エースを当ててきた。開幕したばかりで偶然、そうなったのかもしれない。ただ、パ・リーグのやる気はひしひしと伝わる。今季はしばらく、使っていなかった「熱パ」の言葉を多用するシーズンになるのかもしれない。(福浦 健太郎)

続きを表示

2016年4月10日のニュース