岩貞291日ぶりプロ2勝目 “ラストチャンス”で真価発揮

[ 2015年6月5日 07:15 ]

<神・ロ>7回途中まで無失点でプロ2勝目を飾った岩貞

交流戦 阪神3-0ロッテ

(6月4日 甲子園)
 阪神・岩貞祐太投手(23)が4日のロッテ戦(甲子園)で昨年8月17日以来、291日ぶりのプロ2勝目を挙げた。今季2度目の登板で6回2/3を5安打無失点に抑える力投。前回5月24日のDeNA戦(横浜)では2回1/3を4失点で降板し、“ラストチャンス”と覚悟したマウンドで真価を発揮した。攻撃ではドラフト3位・江越大賀外野手(22)が決勝の中越え適時三塁打。投打で若虎が奮闘し、山あり谷ありだった今回のロッテ3連戦でやっと快勝した。

 岩貞が同期入団の岩崎との開幕ローテーション争いに敗れ、2軍降格を告げられたのは3月中旬を過ぎた頃だった。「今の自分の足りないものは何ですか?教えてください!」。勇気を振り絞り、山口投手コーチに食い下がって聞いた。

 「ザキ(岩崎)に結果で負けて、悔しかった。でも、このまま2軍に落ちても何も変わらないと思って…。山口さんには“落ちるボールの精度ちゃうか”と言われて、2軍で取り組むことも明確になった」

 待望の今季初勝利をアシストしたのは、打者のタイミングを外し、低めに制球されたチェンジアップ。あの悔しい春に磨きをかけると固く誓った「落ちる球」だ。4回は井口、5回は清田、強打の右打者2人から三振を奪った。鳴尾浜球場のブルペンでどれほど投げ込んできたか。体に染みつかせた球種は6回2/3を無失点に封じる“隠し味”になった。

 今季初登板だった前回5月24日のDeNA戦では打線の援護を得ながら2回1/34失点。「いままでやってきたことができなかった。悔しくて、一からやり直そうと思ったところでチャンスを頂いて、これを逃したらもう1軍に上がれない気持ちで投げた」。悔しい思いを味わう度に強くなってきた23歳は自ら背水を覚悟した一戦をたくましく投げ抜いた。

 大学時代から試合前は「野球のことは考えない」と無心になるはずが、今回は「緊張して…」と振り返った。福原、能見らに「誰でも緊張するよ」と声をかけられ、力みが抜けた。昇格前には2軍調整中のメッセンジャーに頭を下げて1時間も話し込み、「とにかく上に上がるには結果が必要なんだ。ブルペンでいいボールを投げてたじゃないか。自信を持って投げろ」と激励された。291日ぶり白星は先輩たちへの恩返しにもなった。

 鳴尾浜の寮の自室には土で汚れた1つのボールがある。新人だった昨春キャンプ中に発症した左肘痛からの復帰登板した7月2日の2軍戦で使用したものだ。プロ初勝利の記念球さえ「たぶんなくした」と執着しない男が「このボールだけは…」と大事に保管する。腕を振れた喜びを絶対に忘れないために―。

 「実戦復帰した時、めちゃくちゃ嬉しかったんです。試合で投げられるってこんなに楽しいことなんだって」

 甲子園球場のお立ち台に初めて上がった試合後も「思い切って腕を振った」と何度も繰り返した。聖地で感じた「幸福」も絶対に忘れないだろう。「これをきっかけにして、しっかりと投げて行きたい」。2年目を迎えたドラフト1位左腕はもう次戦を見据えた。

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