マー君、鮮やか復活劇!右腕の不安払しょく「本当に凄く良かった」

[ 2015年6月5日 05:30 ]

<マリナーズ・ヤンキース>5回2死、アクリーを見逃し三振に仕留める田中

ア・リーグ ヤンキース3-1マリナーズ

(6月3日 シアトル)
 完璧カムバック!右手首の腱炎と右前腕部の張りで故障者リスト(DL)入りしていたヤンキースの田中将大投手(26)が3日(日本時間4日)、マリナーズ戦で41日ぶりにメジャー復帰を果たし、今季3勝目を挙げた。メジャー自己最速タイとなる96マイル(約154キロ)の直球を軸に両サイドのボールからストライクになる「フロントドア」もさえ渡り、球数制限80球の中、7回を78球で3安打1失点、毎回の9奪三振、無四球の快投。右腕の不安を払しょくする鮮やかな復活劇を演じた。
【試合結果】

 80球の投球制限が迫った78球目だ。メジャー通算79発のシーガーを相手にカウント1ボール2ストライクからこん身の力を込めた。内角低めにメジャー自己最速タイとなる96マイル(約154キロ)の直球が決まり、見逃し三振。お手上げとばかりにバットを真上に放り投げた相手を横目に、田中はエースの風格を漂わせゆっくりとマウンドを降りた。

 「きょうは本当に凄く良かった。全ての球種が良かったし、バランス良くいろんな球を投げることができた。それが相手に的を絞らせなかったのかなと思う。7回を投げ切れたのは最高」

 41日ぶりのメジャー復帰戦。不安視されてきた右腕の回復を示すばかりでなく、より威力が増した直球を見せつけた。右肘じん帯損傷から復活を目指した今季キャンプでは、ツーシームを多用し打たせて取る投球を模索したが、シーズン途中からは「フォーシームが大事」と原点回帰の思いを強くした。ESPNスタッツによると速球の平均球速は92・3マイル(約148・5キロ)でメジャー自己最速を記録。最後まで球威は衰えなかった。

 直球の威力が抜群だったからこそ、変化球も生きた。2回に昨季ア・リーグ本塁打王のクルーズをスライダーで、シーガーをツーシームで見逃し三振。この日の9奪三振中7個が見逃しで、そのうち5個が「フロントドア」。直球の残像を植え付けられた打者は手を出すこともできなかった。

 エースが苦しみつかんだ今季3勝目。リハビリ期間中、心に支えになったのはある記事で読んだという、ヤ軍OBの松井秀喜氏の「自分にコントロールできないことは考えない」という言葉だった。故障を繰り返す右腕に米メディアの批判的な記事は絶えないが、マリナーズ戦での復帰が決まった際には「結果が良ければいいように言われるし、悪ければ悪いように言われる。自分は結果を残していくことでしかコントロールできない」と語った。外野の騒音をシャットアウトし、1球に集中した。リハビリ登板2度を経て、帰ってきたメジャーの舞台には心技体の全てをコントロールする田中の姿があった。

 見事な復活劇だったが満足 はしていない。「マウンドに立ち続けることが大事だと思うし、きょう一日良かっただけでもしようがない」と残りシーズンを戦い抜く決意をにじませた。それでも移動用のスーツ姿に着替えて、バニラアイスクリームを手にクラブハウスを引き揚げるときばかりは至福の表情を浮かべていた。

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