先制&決勝弾 年俸630万円“格安4番”中川がプロ初連発

[ 2015年6月5日 05:30 ]

<ヤ・楽>2回、先制本塁打を放った中川がベンチの出迎えを受ける

交流戦 楽天7-2ヤクルト

(6月4日 神宮)
 覚醒といっていいかもしれない。楽天・中川はプロ7年目で初の1試合2発を2打席連発でマークした。だが、当の本人は淡々と振り返った。

 「ファーストストライクから自分のスイングをすることだけを考えた。真っすぐのタイミングでしっかりチェンジアップに対応できたことは良かったと思います」

 2回に先制4号ソロ。カウント1ボールからの成瀬のチェンジアップを右翼席に運んだ。プロ7年目の今季、初本塁打を放ってから4本目で飛び出した右方向への初アーチ。1―1の4回、第2打席では初球のチェンジアップを左翼席へ高い放物線で放り込んだ。成瀬の緩急にもブレずに力強く振り切った。

 プロ6年目までは1軍でノーアーチ。それが5月10日の初アーチからわずか1カ月で5本を重ねた。平石打撃コーチは「昨年までは始動が遅れていた。今年は左足をスッと上げ、しかもトップの位置がとれている」と進化を語る。右足に体重が乗り、弓を引く形でトップを作れる。昨オフにオーストラリアのウインターリーグに参加し「不器用なのに器用に打とうと思っていたが、吹っ切れた」と言う。豪快に空振りしてもいい。精神的な成長も重なっている。

 先制、決勝の2本の殊勲アーチに、2軍監督時代から指導する大久保監督は「打席の立ち方、ボールの待ち方は満点。去年(2軍で)不安と恐怖を覚え、凡退した後も修正もうまくなった」と最大級の賛辞を贈った。

 昨年7月に生まれた長女のために車をファミリーカーに替えた。公私に充実した時を迎える。

 「どんな打順でも自分は挑戦者ですから。中軸を任されれば、もっと自分のスイングを増やす必要がある」

 これで2カード連続の勝ち越し。年俸630万円の12球団で一番安い4番がチームを上昇気流に乗せていく。

 ◆中川 大志(なかがわ・たいし)1990年(平2)6月8日、愛知県生まれの24歳。桜丘ではエース兼4番を務め、08年ドラフト2位で楽天入団。11年の秋季キャンプ中に右膝を故障し、同年11月に育成選手に変更。12年12月に再び支配下選手登録された。イースタン・リーグでは11年に打点王、13年には本塁打、打点の2冠を獲得。1メートル86、92キロ。右投げ右打ち。

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