石井一久氏が分析 新しい「横」の揺さぶり光ったマー君

[ 2015年6月5日 09:00 ]

<マリナーズ・ヤンキース>初回、復帰した田中はマウンドに手を触れる

ア・リーグ ヤンキース3-1マリナーズ

(6月3日 シアトル)
 新しいバリエーションが見えた田中の投球だった。それは横の揺さぶり。左打者の内角にはフロントドアのツーシーム、右打者には内角からのスライダー、いわゆる「インスラ」と、高度な球種で見逃し三振が取れていた。それでいて右打者にも左打者にも、外角に出し入れできる球種もある。2回から捕手が初めて組むマーフィーに代わったが、息も合っていた。

 特に左打者には付けいる隙を与えなかった。フロントドアのツーシームは今季から持ち球としているが、カット系で内角に突っ込んでいく球もあったので、より効果的だった。田中と対戦する相手チームは、まずスプリットを警戒し「縦」を意識する。それだけに「横」がこれだけ使えれば、打者は的を絞れない。田中にとってもスプリットへの依存度は減る。

 そのスプリットも今までは「落ちる」イメージだったが、この日は「速くて沈む」感じ。前者は空振りは取れるが、ボール球は見極められやすい。一方、後者は打者が手を出しやすいので、球数も減る。フォームもいい時の脱力感があり、球威も十分。ケガの影響も感じられず、完璧に近い復帰戦だったと言っていい。(スポニチ本紙評論家)

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2015年6月5日のニュース