ルーキー江越、プロ初適時打に興奮「あの歓声は特別。鳥肌立った」

[ 2015年6月5日 08:28 ]

<神・ロ>2回2死一塁、江越は中越えに適時三塁打を放つ

交流戦 阪神3-0ロッテ

(6月4日 甲子園)
 本拠地・甲子園に愛されている証拠だろう。2回、2死一塁。ロッテ・植松の低め直球を思い切りたたいた阪神・江越の打球は中堅後方へ上がり、追い風に乗って伸びた。中堅フェンスに直撃するプロ初の適時打。結果的に決勝打となった先制の三塁打で大歓声を全身に浴びた。

 「あの歓声は特別。鳥肌が立った。必死に2軍でやってきた。常に上を目指して、やってやろうという気持ちでした」

 5月6日に出場選手登録を抹消され、約1カ月ぶりの1軍再合流。2軍では出場した最近3試合で13打数5安打(打率・385)、2本塁打。前日3日に左手親指を負傷した伊藤隼に替わる昇格。即日の先発起用に殊勲の一打で応えた。思えば、4月28日のヤクルト戦(甲子園)でも昇格2戦目でプロ1号決勝弾で大仕事を果たしていた。

 2軍では掛布DCからの指導で打撃フォームを改善。バットのヘッドを返すイメージを意識するようになり、以前まで散見された無理な大振りは解消され、この試合で見せたコンパクトで鋭いスイングが生まれた。

 「自分のスイングを―」。この言葉が江越を支える信条だ。母・照絵さん(49)は「いい時も悪い時もあるのが勝負の世界。プロの世界だし、そこは本人が一番分かっている」と地元・長崎から見守り、連絡を取る度に必ず「自分のスイングをしなさい」のひと言を伝えてきた。そんな母の言葉を胸に秘め、信条を貫く一打を放った。

 先発した岩貞に勝利を届けたい理由もあった。新人で臨んだ2月のキャンプ中のことだ。岩貞に誘われ、同年齢の中谷と3人で食事する機会を得た。中谷とは年齢以外にも右打ちの外野手という共通項を持ち、互いに意識し合ってぎこちない雰囲気があったという。1学年上の先輩が開いてくれた交流会で親睦は深まった。そんな粋な“兄貴”の今季初勝利を自分のバットでアシストできた喜びは、きっと格別に違いない。

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2015年6月5日のニュース