昨夏はボールボーイだった!大阪桐蔭 最軽量“SS左腕”が完封

[ 2014年8月22日 05:30 ]

<八頭・大阪桐蔭>9回2死、浜川を遊ゴロに打ち取り笑顔の大阪桐蔭・田中

第96回全国高校野球選手権3回戦 大阪桐蔭10―0八頭

(8月21日 甲子園)
 大阪桐蔭(大阪)は先発左腕の田中誠也投手(2年)が被安打3の7奪三振で八頭(鳥取)を完封。二塁すら踏ませない快投で2年ぶりの準々決勝進出を決めた。打線も3番の香月一也内野手(3年)が4安打4打点の活躍を見せるなど16安打10得点。4強入りをかけ、22日の準々決勝で高崎健康福祉大高崎(群馬)と激突する。

 でっかい仕事をやってのけた。2年生の田中が快調なペースでスコアボードに0を重ねた。90キロ台の緩いカーブとチェンジアップを効果的に織り交ぜて散発3安打。緩急自在の投球で八頭に的を絞らせなかった。3回から5イニング連続で3者凡退。二塁すら踏ませない圧巻の聖地初完封で2年ぶり8強進出へと導いた。

 「1回戦は思い通りにいかず、悔しさがあったんで“やってやるぞ”という気持ち。一番のピッチングができました」

 お立ち台で声が弾んだ。1回戦の開星戦は初回に5本の長短打を浴びるなど4失点。5回5失点で降板した。帽子のつばに記した言葉は「弱気は最大の敵」。何度も見ては心を奮い立たせた。立ち上がりに細心の注意を払い、コーナーに球を散らした。手本にしたのは“超遅球”で今大会を沸かせた東海大四(南北海道)の西嶋だ。球速ではなく、キレと制球、緩急で凡打の山を築いた。

 18人のメンバー中、最軽量の58キロ。ユニホームはチームで最も小さいSSサイズだ。ウエストもくびれている。目下、増量計画中で朝は500グラム、夜は700グラムの白米を食べるのが日課だ。6月まで60キロをキープしていたが「どっしりとした体格になりたいけど、なかなか太れない」と悩みを明かした。観戦した母・幸恵さん(44)も「幼少時から食が細く、食事は1時間半くらいかけていました」と話す。

 高校入学時は「森(現西武)さんを見てすごいレベルだと思った」と驚がくした。昨年は打撃投手で森ら強打者相手に経験を積み、ブルペンでも球を受けてもらった。昨夏のボールボーイから成長した姿で聖地に戻ってきた。「初戦の悔しさは晴らした。一人ひとりが意識を高く持って全国制覇を目指したい」。体重58キロの“SS左腕”はさらなる高みを見据えている。

 ◆田中 誠也(たなか・せいや)1997年(平9)10月27日生まれ、大阪府大東市出身の16歳。小3時に四条北ヤンキースで野球を始め、投手、外野手、一塁手。深野中時代は生駒ボーイズで全国大会出場。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。最速137キロ。持ち球はカーブ、チェンジアップなど。1メートル70、58キロ。50メートル走6秒8、遠投100メートル。左投げ左打ち。

 ≪85年ぶり≫八頭―大阪桐蔭は85年ぶりの鳥取勢と大阪勢の顔合わせだった。前回対戦したのは1929年の第15回大会。この時は準々決勝で鳥取一中が1―0で市岡中を破った。

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