巨人・片岡 11回首位死守弾 長野決死の美守に燃えた!

[ 2014年8月22日 05:30 ]

<ヤ・巨>11回無死、勝ち越しソロ本塁打を放った片岡(左)はチームメートに出迎えられる

セ・リーグ 巨人6-5ヤクルト

(8月21日 神宮)
 巨人は21日、ヤクルトと対戦し、5―5で迎えた延長11回に片岡治大内野手(31)が左越えに決勝の5号ソロを放った。0・5ゲーム差の2位・阪神が中日に勝ち、負ければ首位陥落の危機。不振で2軍落ちし、同カードから復帰した男がチームを救った。守っても同点の9回1死一、二塁で右中間の飛球を長野久義外野手(29)が好捕。右膝を痛めて退場する捨て身の守備で首位の座を守った。

 やっと、心の底から笑えた。1軍復帰3試合目。決勝アーチを放った片岡は、勝利投手のマシソンからウイニングボールを手渡された。野手がもらうことは異例のことで、目を丸くして喜んだ。

 「ホームランを打てたらいいなとは思っていた。うまく体が反応してくれた。ファンの皆さんの声援のおかげで届いてくれました」

 5―5で迎えた延長11回。先頭で江村の内角140キロをフルスイングした。この日、チーム4発目となるアーチは巨人ファンで埋まる左翼席へ吸い込まれた。0・5ゲーム差に迫る2位・阪神は先に勝利を決めていた。敗れれば6月7日以来となる首位陥落。7回の守備から途中出場した背番号8の一振りで、4時間29分の死闘を制した。

 開幕から走攻守で存在感を見せてきたが、徐々に打撃不振に陥った。今月6日には2軍に降格。原監督は「ちょっと(自分を)見失っている」と言った。西武からFA移籍で飛び込んだ新天地。定位置は確保されず、首位を走るチーム内で無意識に重圧を感じていた。「いろんな新しいことに対応しきれていない自分がいた。気持ちが後ろ向きになっていた」。1軍の試合はあえて見ず、2軍で汗を流した。そして今カードから復帰した。

 片岡は「長野の思いもあったので」とも口にした。5―5の9回1死一、二塁。比屋根が放った右中間への飛球を中堅・長野が捨て身のランニングキャッチ。前進守備から背走して左手を目いっぱい伸ばし、サヨナラ負けの窮地を脱した。捕球後は右膝を痛めて負傷交代した。初回1死三塁では、二塁・井端が一、二塁間へのライナーをダイビングキャッチ。落下時に右肩を打ちつけたが、プレーを続けていた。片岡は「みんな全力でやっている中、僕は2軍に落ちていて申し訳なかった。最後まで戦い抜かなきゃという気持ちで戻ってきた」と力を込めた。

 「よく粘ったね。長野もスーパープレーだった。全員の力を結集するということ。その心構えはできているんだけどね。何度もしたくはないな」と原監督。長野は22日に病院で検査を受けるが、結果次第では最悪出場選手登録を抹消される可能性もある。抹消を免れても数日間欠場する可能性が高い。「迷惑をかけたので、これからいっぱい取り返したい」と片岡。残り38試合。総力戦で迫りくる猛虎を振り払い、首位を守る。

 ▼巨人・井端(初回に川端の二直をダイビングキャッチし、右肩を強打。7回守備から交代)肩は大丈夫です。

 ≪延長戦の勝利打点3度は最多≫片岡(巨)が延長11回に決勝の5号ソロ。片岡は今季延長10回以降の打席で13打数6安打、打率.462とよく打っている。また延長回の殊勲安打は4月5日中日戦、6月11日の日本ハム戦に次ぎ3度目で、全て決勝打。延長戦の勝利打点3度は同僚の阿部らの2度を上回り、今季両リーグ単独最多となった。

 ≪今季延長戦12勝≫今季、巨人は延長戦で12勝目。セの延長戦最多勝利は、67年中日と02年巨人の各14勝となっており、記録にはあと2勝だ。また、7月以降の延長戦8試合のうち5試合は追いついて延長となったもの。それ以前の10試合では同様のケースが2試合しかなかったが、夏場に入ってしぶとさを見せている。

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