中井 すり替えられた「Wake Me Up!」弾 “仕掛け人”は鈴木

[ 2013年7月8日 06:00 ]

<巨・D>4回2死二塁、左越えに先制2ランを放つ中井

セ・リーグ 巨人2-0DeNA

(7月7日 東京D)
 果敢に初球からいった。巨人・中井らしくだ。0―0の4回2死二塁、三浦が投じた内角高めへ抜けたフォーク。軸回転で捉え、しっかり上から叩きつぶした。左翼線へ舞った打球は切れずにポール直撃。先制の2号2ランで投手戦にケリをつけた。

 「出来すぎというか自分でも驚いてます。(本塁打は)何とか切れないように願ってました。上から下へ振り下ろす形ができていたと思います」

 この時点で猛打賞、あと三塁打でサイクルという活躍。苦笑いの初回1打席目が始まりだった。「なんだコレは?」。場内に響いたのは女性グループ・SPEEDのヒット曲「Wake Me Up!」。先輩たちのいたずらで、打席に入る際に流れるテーマ曲がすり替えられていた。6月11日の練習に寝坊で遅刻し懲罰降格を食らった中井に注がれる「♪朝の太陽~、疲れたBODY目覚めさせて」の歌声。予期せぬブラックジョークにも中前打を放ち、勢い付いた。「(鈴木)尚広さんが練習中に冗談で言っていたんですが、本当に替わっているとは…」。当の鈴木は「あれで凡打したら僕が悪者。打ってくれて良かったし、打線に火を付けてくれた」。毎回の11安打。しかし、得点は中井の2ランのみだから貢献度は絶大だ。

 積極さだけでなく、技術も詰まった決勝弾だった。5月21日の練習で原監督から「すくい打ちになっている」と直接指導を受けた。「自分がプロで生きていくには長距離砲ではない。しっかり叩ける中距離打者にならないと」と球を上から叩く意識を強く持ち、フォームを修正。6月25日の再昇格後は打率・464で7試合連続安打だ。4試合連続の1番起用。プロ6年目で本拠地初のお立ち台に上がった中井は言った。「今後も打たせてもらえるなら、走力も磨き1番として頑張りたい」。目覚めたどころか、完全に覚醒した。

 ▼巨人・原監督(中井に)1打席目の安打はチーム全体に活力を与える。1番打者の役割をこなしている。チームというのは動いているが、そこ(1番)はガッチリつかんでもらいたい。

 ▼巨人・川相ヘッドコーチ(中井に)本塁打はすくうのではなく、バットを下ろす形で打てていた。切れると思ったが切れなかった。

 ▽Wake Me UP! 沖縄出身の女性ボーカルグループ「SPEED」の4枚目シングル。97年8月6日にリリースされ、累計売り上げ89万枚。チャート最高順位2位を記録しロート製薬のCM曲に採用された。アップテンポな曲調で人気を集めた。

 ≪07年宇治山田商 佐賀北と再試合≫中井は宇治山田商では1年生から背番号1を背負い、3年夏の07年に甲子園出場。初戦で優勝した佐賀北と対戦し、延長15回、4―4で引き分け再試合。中1日で先発した再試合は「この前は空振りしていた球を、きょうははじき返された」と同点の6回に3点を失い、1―9で敗れた。それでも投打の中心として活躍し「甲子園で2回も全力プレーができた。達成感はある」と振り返った。

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2013年7月8日のニュース