47歳山本昌 無死満塁で44歳金本斬り「ジーンときた」

[ 2012年10月4日 06:00 ]

<中・神>4回無死満塁、阪神代打の金本は山本昌(右)の前に二飛に倒れ舌を出す

セ・リーグ 中日4-1阪神

(10月3日 ナゴヤD)
 高々と舞い上がった白球を見上げた時、最年長左腕の胸にこみ上げてくるものがあった。中日のエースと、広島、阪神の主軸打者。18・44メートルの距離を隔て、約20年間にわたって対峙(たいじ)してきた好敵手との最後の対決は、二飛に打ち取った山本昌に軍配が上がった。

 「あの場面じゃ感慨にふけることもできなかったけど、打ち取った後には感じるものがあった。セカンドフライを見ながら“ああ、これで金本と終わりか”とジーンときましたね」

 239度目の対戦は、2―1の4回無死満塁という大ピンチで迎えた。「ランナーがいなければ真っすぐ勝負だったんだけど」と苦笑いした左腕は、まず初球のスライダーで1ストライク。2球目の直球は低めに外れ、3球目の真っすぐで空振りを奪った後の4球目。自身の最大の武器である球速以上に伸びる135キロのストレートで、最後は力勝負で勝った。

 213勝目を挙げ、球団最多記録をまた1つ更新した大ベテランにとっても金本は“嫌な相手”であり続けた。「アウトローのスライダーをライトオーバーのタイムリーにされた。“あの球をあれだけ引っ張れるのか”と思った」。自身のウイニングショットを完璧に打たれた経験は、悔しいというよりも衝撃的だったという。

 ただ、相手はユニホームを脱ぐが、自身の戦いはまだまだ終わらない。金本の二飛後、返す刀で若い伊藤隼、清水を打ち取りこの回無失点。5、6回は3者凡退に抑え、3回1安打無失点で今季3勝目となった。47歳での勝利は1950年の浜崎(阪急)以来、62年ぶり2人目。自身の持つリーグ記録も更新した。この力投でCSでの登板を確定的とした大ベテランは、バットを置く戦友の分まで戦い続ける。

 ▼阪神・金本(山本昌との対戦に)マサさん(山本昌)はシンカーとスライダーの揺さぶりで勝負するが、まさかの直球勝負だった。球も切れていて、思わず甘い球を打ち損じた。

 ▼中日・岩瀬(リーグトップの33セーブ目)終わってみないと分からない。自分の投げるところでしっかりやるだけ。

 ≪セ最年長47歳1カ月で救援勝利≫47歳1カ月の山本昌(中)が救援登板し、今季3勝目。47歳を過ぎて勝ったのは50年5月7日東急戦で48歳4カ月の浜崎(阪急)が救援勝利を挙げて以来62年ぶり2人目。セでは山本昌が初めてだ。また今季自身の1、2勝目はいずれも先発勝利。救援勝利の最年長記録は前記浜崎の48歳4カ月だが、セでは工藤(横浜)が09年7月1日ヤクルト戦でマークした46歳1カ月を抜くリーグ最年長となった。

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