M1のイチロー「引きが強い」松坂討ちで地区V決める

[ 2012年10月4日 06:00 ]

<ヤンキース・レッドソックス>延長12回2死一、二塁、イバネスのサヨナラ打で生還したセルベリ(40)を笑顔で迎えるヤンキース・イチローとアレックス・ロドリゲス(後方)

ア・リーグ ヤンキース4―3レッドソックス

(10月2日 ニューヨーク)
 天国か地獄か。運命の最終決戦だ。ヤンキースは2日(日本時間3日)、レッドソックス戦で延長12回サヨナラ勝ちし、地区優勝マジック1とした。3日(同4日午前8時5分開始)のレギュラーシーズン最終戦でイチロー外野手(38)と黒田博樹投手(37)が、レッドソックスの松坂大輔投手(32)と激突する。ダルビッシュ有投手(26)が所属するレンジャーズも、同率首位で並ぶアスレチックスとの最終戦(同午前4時35分開始)で地区3連覇が懸かる。両チームともプレーオフ進出は決めているが、地区優勝を懸けた大一番に臨む。

 サヨナラの瞬間。ネクストバッターズサークルにいたイチローは興奮のあまり、自分のバットを持ったまま歓喜の輪に飛び込んだ。マリナーズ時代の同僚、ロッカーも隣で仲のいいイバネスが9回に同点2ランを放ち、延長12回にサヨナラ打。「もう説明することなんてないんじゃないですか。きょうなんて」。バント安打1本に終わったが、4時間9分の激闘を制し、そう振り返った。残り1試合で地区優勝マジック1。悩み抜いた末にマリナーズから移籍し、優勝争いでも苦しみ抜いた末に、ここまできた。

 「これだけ厳しい状況が続いていて、最後にそれを勝ち取ることは、断トツに勝つことよりも難しい。その間に培われているものは必ずあると信じている」。2位オリオールズも勝ち、ゲーム差は1のまま。3日の最終戦で敗れ、オ軍が勝つと94勝68敗で並ぶ。7月18日時点で最大10ゲーム差をつけた相手に最後で追い付かれる屈辱だ。しかも優勝決定戦に持ち込まれ、そこで負ければワイルドカードに転落する。

 運命の一戦で立ちはだかるレッドソックスの先発は、日本時代から数々の名勝負を繰り広げ、ライバルと認める松坂だ。くしくもヤ軍は黒田が先発。「日本人にとっては、黒田も投げるしね。引きが強いというところは変わらないと思いますけどね。大輔は」。イチローは、この因縁と緊張感を楽しむように言った。

 「断トツに勝つ」地区優勝を果たしたのが、マリナーズ1年目の01年。ア・リーグ新記録となる116勝を挙げたが、リーグ優勝決定シリーズで敗れた。相手は現在所属するヤ軍だった。あれから11年。苦しみ抜いて迎える最終戦を前に「この流れを考えれば、何か大事なものを試されている、与えてもらっている」と感じている。世界一への道を切り開くために、ライバルを全力で倒す。

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2012年10月4日のニュース