巨人残った2・5差 坂本サヨナラ30号!

[ 2010年9月22日 06:00 ]

<巨・横>延長12回1死、左越えにサヨナラ本塁打を放った坂本(左)はラミレスと笑顔で抱き合う

 【巨人4―3横浜】巨人は21日、横浜に延長12回の末、サヨナラ勝ちした。坂本勇人内野手(21)が1死から通算5度目のサヨナラ弾となる30号ソロを放ち、決着した。阿部慎之助捕手(31)がシーズン自己最多を更新する先制の42号ソロ。小笠原道大内野手(36)が通算3500塁打に達する34号ソロと、本塁打攻勢で首位・中日から2・5ゲーム差をキープ。3位ながら逆転Vへ望みをつないだ。

 12回1死。1ストライク1ボールからの3球目。真田の外角144キロ直球に、坂本は大きく踏み込んでフルスイング。打った瞬間、一塁ベンチへ向けて両手を突き上げるほどの完ぺきな手応えだった。自身5度目、今季3度目のサヨナラ弾。本塁上でナインからもみくちゃにされると、その後ろで原監督が両手を広げて待っていた。熱く、そして固い抱擁を交わした顔は真っ赤に染まった。
 「思い切っていこうと思っていました。本当に普段の練習から一生懸命やっているかいがあった。延長戦に入っても、たくさんのファンが残っていた。心強かった」。ヒーローを迎えた原監督も「勝負に対して向かう姿勢というか、心構えが感動する一打を生む。本塁打は偶然ではないということです」と激賞した。
 この劇的な一打を指揮官は予感していた。「遊撃の守備でも飛び付いてね。ああいうプレーで大仕事が出ると思った」。11回2死二塁で、下園の抜ければタイムリーという当たりを、坂本が身を投げ出して捕球した。内野安打になったが、生還は許さなかった。この瞬間、幕切れの主役はこの男と確信したという。
 7月。坂本は体のほぼ正面で構えていたグリップの位置を、顔の後ろへと下げた。今季のテーマだった外角球打ちを意識するあまり、外角低めのボール球にまで手を出していた。グリップ位置の変更は体は突っ込んでも、バットを止めるための工夫だった。篠塚打撃コーチは「自分で考えてやっている。そこが偉いところ」と話す。この日のサヨナラ弾は真田の外角直球をとらえた。今季30号で、成長の跡もくっきりと見せつけた。
 ヒーローインタビューを終え歓喜に沸き返るグラウンドを1周すると、坂本の表情はすでに冷静さを取り戻していた。口を真一文字に結んで「誰一人、優勝をあきらめている人はいない。きょうはきょうで終わった。いい形で、あしたもやりたい」。首位に2・5ゲーム差で残り10試合。若武者の目には、勝利しか見えていない。

 ≪G最多タイの年間3発≫坂本が30号サヨナラアーチ。サヨナラ本塁打は通算5本目(チーム4位タイ)で、今季3本目。シーズン3本のサヨナラ本塁打は93年ハウエル(ヤ)の5本も含め史上15人目だが、巨人では70年王、昨年亀井に並ぶ最多タイ記録。2シーズン以内に5本は、1年で5本打った前記ハウエルに次ぎ史上2人目の記録になった。1番打者の30本塁打は85年真弓(神=34本)、02、03年松井(西=36、31本)に次ぎ史上3人目。また、チームではラミレスの43本を筆頭に今季4人目の30号到達。同一球団に30本以上が4人は、07年巨人以来延べ7球団目(チーム3度目)の最多タイ記録だ。なお、坂本の一発で東京Dでの今季チーム本塁打数が118本となり、04年に並ぶ同球場の球団最多タイ記録。

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2010年9月22日のニュース