ベイ投に光…07年センバツV腕が初先発初勝利

[ 2010年9月16日 06:00 ]

<横・神>プロ初勝利を飾りヒーローインタビューを受ける横浜・田中(右)

 【横浜7―5阪神】秋風吹く横浜に新星が現れた。3年目の田中が、6回0/3を89球で5安打3失点。08年の小林太以来、チーム2年ぶりのプロ初先発初勝利を挙げた。

 「打者1人ずつと勝負していこうと思ってその通りできた。(初勝利まで)長かったです」。背番号はエース三浦の入団時と同じ「46」。球団期待の20歳は、同じ左腕の工藤(西武)にあこがれて磨いてきたカーブを中盤以降に多投。緩急をつけてカウントを整え、ウイニングショットの直球、スライダーを生かして阪神打線を抑え込んだ。
 常葉学園菊川のエースとして07年センバツ優勝。同年高校生ドラフト1巡目で入団した。だが、プロでは順風満帆ではなかった。左肩の故障に泣き、1年目は投球練習ができず2年間2軍暮らし。甲子園の頂点を極めた栄光から一転、黙々とランニングに励んだ。同期のヤクルト・由規、日本ハム・中田ら「ビッグ3」が活躍。「うれしい半面悔しかった。絶対やってやると思っていた」と反骨心を糧にはい上がった。肩の不安が消えた今季は2軍で8月に3勝。今月7日に初昇格すると、11日に中継ぎで初登板、そしてこの日の快投と一気に駆け上がった。
 チームは既にCS進出の可能性が消滅。その中、若い芽が育ったことは希望の光だ。イースタン・リーグで本塁打、打点の2冠を独走する筒香も、来週には1軍昇格予定。残り17試合。すべては来季につながる。

 ≪観戦の両親も感激≫スタンドでは田中の両親が声援を送った。愛知県新城市の自宅から車で4時間かけて来た父・好正さん(50)は「スキを見せたらやられる阪神打線。よく抑えた。きょうの登板を今後のスタートにしてほしい」と笑顔。母・巳路子さん(42)は、愛息から手渡されたウイニングボールを大事そうに握って感無量の様子だった。

 ◆田中 健二朗(たなか・けんじろう)1989年(平元)9月18日、愛知県生まれの20歳。常葉学園菊川では3年時に春夏連続甲子園出場。春の2回戦・今治西戦で17奪三振完封など初優勝に貢献。夏は4強入りし、甲子園通算6勝。07年高校生ドラフト1巡目で横浜入団。1年目の08年は左肩痛の影響で公式戦登板なし。昨季は2軍で14試合に登板した。1メートル78、74キロ。左投げ左打ち。血液型B。

 ▼横浜・石川(2回1死満塁で走者一掃の右越え三塁打)絶対チャンスで回ってくると思ってネクストから気合入れていました。(田中に)試合前に「きょうは打つ」と言ったので、打てて良かった。

続きを表示

2010年9月16日のニュース