赤ゴジラ 4番で開幕弾&V打!

[ 2010年4月7日 06:00 ]

<エンゼルス・ツインズ>8回先頭、右本塁打を放つ松井

 【エンゼルス6-3ツインズ】赤ゴジラがいきなり火を噴いた。エンゼルス・松井秀喜外野手(35)が5日(日本時間6日)、ツインズとの開幕戦に「4番・DH」で先発出場。5回に勝ち越しの右前適時打に続き、8回には移籍1号となる右中間本塁打を放ち、鮮烈な新天地デビューを飾った。昨季限りで7年間在籍したヤンキースと決別。4番として迎え入れられた昨年のワールドシリーズMVP男が、その価値を証明してみせた。

【試合結果


 あの時の高揚感がよみがえる。勝負を決めるひと振り、総立ちの観衆。松井にとって昨年11月4日、MVPを獲得したワールドシリーズ第6戦以来の公式戦。5カ月後、ホームランボールを手に、再びヒーローインタビューを受けていた。違うユニホームを着て――。

 「勝ってよかったし、その中で貴重な点を入れられてよかった。正直うれしい。このチームを去年と同じところ(世界一)に行けるように頑張りたい」

 3―3の5回2死一、二塁では、外角直球を右前へ適時打。1点リードした8回は先頭打者で外のスライダーを中堅右に放り込んだ。「両方とも相手の失投。それをちゃんと打てたという、それだけです」。いくら重圧のかかる場面でも平常心を失わず、冷静に甘い球を仕留める。この勝負強さを発揮するために、エンゼルスへやって来た。

 昨年冬。ニューヨークの風は冷たかった。昨年はシーズンで28本塁打、90打点をマークし、ワールドシリーズではMVPを獲得。ヤンキースにとって9年ぶり世界一の主役となりながら、松井の望むオファーは届かなかった。キャッシュマンGMは一貫して「うちではDH。外野手としては考えていないし、その信頼はない」と主張した。

 そんな中で手を挙げたのがエンゼルスだ。昨年12月13日。松井は代理人アーン・テレム氏のロサンゼルスの自宅で、エ軍のリーギンスGMとソーシア監督と会った。会食しながら、ソーシア監督は直接「毎日、試合に出てほしい。守ることにもチャレンジしてほしい」と熱っぽく語りかけた。松井は移籍先の決断において、契約年数や金額は度外視。(1)守備復帰への道がある(2)優勝を狙える(3)優秀な指揮官がいる――の3点を条件に挙げていたが、エンゼルスはすべてを満たしていた。

 松井はキャンプ、オープン戦とじっくり時間をかけながら両ひざの不安を克服。オープン戦では左翼として4試合に出場した。この日はDHだったが、ソーシア監督は試合前に「アブレイユ、ハンター、松井、リベラの外野4人は常に打線に置いておきたいので、DHはローテーションで使う。だから松井も守らせる方向で考えている」とレギュラーシーズンでも守備に就かせることをあらためて明言した。

 巨人、ヤ軍と過去に名門球団しか在籍経験がなく、移籍前は「常に刺激のあるところでプレーしたい」と話していた。ヤ軍では常時30人以上の米メディアが取材するのに対し、エ軍の常駐記者は4、5人。しかし、キャンプを経て両球団の違いを「細かいところはきりがないけど、試合をやる上では何も変わらない」と感想。自分が力を発揮するのに、周囲の環境は関係ないと気づいた。

 メジャーでの開幕弾は2年連続で通算4本目だが、最も意味のある一発だろう。「忘れられない試合になったか?」との問いに「おそらくそうなると思う。チームも替わったし、新しいスタートの最初の試合。非常にいい開幕戦になった」と答えた。ピンストライプのユニホームと決別し、新天地で戦う決意が込められた本塁打。赤が映えるユニホームに替わった松井は「きょうみたいな日がたくさんあれば、皆さんもいいと思ってくれるでしょう」と笑った。最高の形で滑り出した再出発。その道は2年連続世界一へと延びている。

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2010年4月7日のニュース