我如古8打数連続安打!興南初8強

[ 2010年3月30日 06:00 ]

<興南・智弁和歌山>1回裏1死一塁、我如古は中前打を放つ

 第82回選抜高校野球大会第7日は29日、甲子園球場で2回戦3試合が行われ、第3試合は興南(沖縄)が智弁和歌山を7―2で下し、初めてベスト8に進出した。3番・我如古(がねこ)盛次内野手(3年)は5打数5安打と大当たり。初戦を含め、8打数連続安打の大会記録に並んだ。このほか、サヨナラ勝ちの広陵(広島)と夏春連覇を狙う中京大中京(愛知)が準々決勝に駒を進めた。

【日程と結果


 【興南7-2智弁和歌山】「打てない興南」とはもう言わせない。2試合連続の2ケタ安打となる13安打7得点で、強打の智弁和歌山に完勝。その中で5打数5安打と打ちまくったのが、3番・我如古だ。初戦を含め8打数連続安打の大会記録に並んだ主将は「昔から智弁和歌山は打のチーム。こっちも打線で勝負したかった」とお立ち台で誇らしげに胸を張った。

 安打製造機ぶりを発揮したのが5回だった。1点を追う無死一塁で、左腕・吉元の内角低めのスライダーを強引に右におっつけた。右打ちをするには難しい球だったが、巧みなバットさばきで逆転劇をおぜん立てした。バント安打を含め5安打はすべて単打。長打があるわけではないし、足が特別速いわけでもない。しかし、我喜屋監督は「彼は得体の知れない打撃をする。瞬時のひらめきがある」と目を丸くする。

 好投手の島袋を擁しながら、昨年は春夏とも貧打で初戦敗退。春は4安打、夏は5安打しか打てなかった。主将は「接戦になった時の僕らは気持ちで負けていた」と話す。野手陣は冬場に毎日1000スイングをノルマに課した。センバツの寒さに感覚を狂わされないように、氷水入りのバケツに30秒間、手を入れてからバットを握った。

 また、私生活から見直すためチーム内に学力、チームワークなどの「委員会」をつくり、「環境委員長」となった我如古は、誰よりも早くグラウンドに来て清掃に励んだ。すべてが野球につながると信じた。8回にダメ押しの右前適時打を放ち、準々決勝で新記録を狙う主将は「新しい興南が見えた」とチームの成長を実感していた。

 春は初のベスト8進出。68年夏に主将として4強入りの経験がある我喜屋監督は「喜んでばかりはいられない。すぐ切り替える」と手綱を締めた。狙うは沖縄勢2年ぶりの大旗。「これからは島袋だけに頼ってはいけない」という我如古の言葉は野手全員に共通している。

 ◆我如古 盛次(がねこ・もりつぐ)1992年(平4)7月6日、沖縄名護市生まれの17歳。小4から辺野古タイガースで野球を始める。久辺中では軟式野球部。興南では1年秋の沖縄大会から背番号15でベンチ入り。昨年は春夏甲子園とも背番号15の左翼手でベンチ入りした。50メートル6秒9、遠投105メートル、趣味は釣り。好きな言葉は百錬自得。家族は両親と兄、弟。1メートル70、67キロ。右投げ右打ち。

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2010年3月30日のニュース