V打王だ!坂本「ミスター千金弾」襲名!

[ 2009年5月11日 06:00 ]

<巨・中>8回2死二塁左中間に逆転2ランを放つ坂本勇人

 【巨人8-7中日】V打王だ。巨人は10日、1点を追う8回に坂本勇人内野手(20)が逆転6号2ランを放ち、チームを今季3度目の5連勝に導いた。坂本は今季6度目の猛打賞で打率首位もキープ。勝利打点も両リーグトップの6度目となり、原辰徳監督(50)も勝負強さを絶賛した。恐怖の1番打者の殊勲打でチームは9連戦を7勝2敗で乗り切り、貯金を今季最多の12に伸ばした。

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08年2月19日 「タダ者じゃない」坂本勇人

 坂本の頭には2週間前に体感した残像が、まだ残っていた。乱打戦でもつれ6―7で迎えた8回2死二塁。マウンドには4月26日にプロ初対戦した斉藤がいた。3球目の内角直球を引っ張ってファウル。同じ球が続いた4球目。やや甘く入った142キロのシュートをとらえた打球は左中間席まで飛んだ。
 「無我夢中でヒットでつなごうという意識だった。ヒットの延長がホームランになって最高にいい結果。どこにボールが飛んだか分からなかった。集中していました」
 2週間前には3球続けて内角を攻められ、右飛に打ち取られていた。打席に入る前にはベンチで篠塚打撃コーチと、狙い球について確認した。「内と外、どっちを狙う?」との言葉に「内を狙います」と即答していた。「この前立った時のイメージが頭にあった。インコースが多かったので」と、やり返した。
 昨年は疲れから5月に打率が急降下した。その反省を生かし、コンディションには最善の注意を払う。練習では下半身に刺激を与えるトレーニングを欠かさず、試合後にもウエートトレを行う。内転筋の強化は意外なところに表れた。スパイク、私服時のスニーカーともに、今季は内側の減りが早い。白坂トレーニングコーチは「内側からの動きは、一番シンプルに体の力を出せる。勇人はそれが無意識でできている。自分に合っていると思ったメニューは継続してやっているからね」と目を細める。知らないうちに飛距離が伸びた。
 原監督は「なかなかお目にかかれない。成長した姿を見せてくれた。数字が素晴らしいんだけど、今年は勝負強さも加わった」と称えた。9連戦で4度目の勝利打点で計6度目は両リーグ1位。好機に強かった長嶋茂雄氏(巨人軍終身名誉監督)をほうふつさせるが「チャンスでもいつも通り。何かを変えることはない」。秘けつは自然体で打席に入ることだ。
 この日は母の日だった。2年前の6月に実母の松村輝美さん(享年47)が小腸がんで亡くなった。試合後に「(母の日は)今知りました」と、無心で試合に臨んでいたが、最高の一打となった。お立ち台。「自分でもびっくりするくらいホームランが出ている。あまりいい気にならず、これからも頑張りたいです」と締めた。記憶力と謙虚さを持ち合わせる20歳が、荒れた試合に決着をつけた。

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2009年5月11日のニュース