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吉と出た岡田監督の決断 松井&大久保“両翼”の守り効いた

[ 2010年6月15日 12:27 ]

<日本・カメルーン>後半、カメルーンFWエトオ(左)と競り合う大久保嘉人

 日本代表の初戦となったW杯1次リーグE組カメルーン戦での戦いぶりを元日本代表監督の加茂周氏(70)が分析した。大会前から守備重視で採用した4―3―2―1の布陣は松井、大久保、遠藤、長谷部、阿部の5人の中盤が連動した動きで機能。1トップの本田の動きにさらに幅が出れば、オランダ戦に向けて可能性も広がる。

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 日本にとって初戦は最も重要なウエートを占めていた。力関係を考えれば、第2戦のオランダから勝ち点を奪うのは容易ではない。第3戦のデンマーク戦に決勝トーナメント進出の望みをつなぐためにも、できれば勝ち点3、最低でも勝ち点1を奪う必要があった。

 その意味で試合運びは完ぺきだった。1トップを本田に、アンカーに阿部を置く布陣は相手に先制点を絶対に与えないという布陣だったが、十分に機能した。相手ボールの際に両サイドの松井と大久保が鋭い出足でプレッシャーをかけたことで、阿部、遠藤、長谷部の中盤3人がブロックを構築。カメルーンに攻めるきっかけを与えなかった。無理にボールを入れてきても中沢と闘莉王のセンターバックが余裕を持って対応できていた。カメルーンが不調で消極的だったこともあるが、選手の距離感、バランスが最後まで崩れなかった。

 本田は1トップとして必ずしもポイントをつくっていたわけではなかったが、ワンチャンスを決めたことで責任は果たした。大会前のシステム変更はリスクも大きかったが、大量点を望めない日本の現状では勝つにはこの方法しかない。岡田監督の決断は吉と出た。

 ただ、次のオランダ戦はカメルーンと違って、もっと攻勢に出てくる。その中で、日本はこの日のような距離感を保つことができるかどうかがカギとなる。また、勝負どころではポジションを崩してでも前の選手を追い越す動き、サイドからのオーバーラップなど攻撃に厚みを出さないと勝ち点を重ねることは難しい。それでも、初戦で勝ち点3を奪ったことで、残り2試合を通しての勝ち点の計算もできる。決勝トーナメント進出へ大きな大きな1勝だった。(元日本代表監督)

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2010年6月15日のニュース