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本田よりも光っていた阿部 的確な状況判断で完封生んだ

[ 2010年6月15日 13:16 ]

<日本・カメルーン>前半、カメルーンMFエノと競り合う阿部勇樹

 W杯1次リーグE組の初戦で、カメルーンを1―0で下した日本代表。98年フランス大会で背番号10を背負った元日本代表MFの名波浩氏(37)はどう見たか――。

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 岡田監督が思い描いていたサッカーを、送り出されたメンバーは90分間やり通した。得点は1点だけだったが、ゴールの場面の本田の動きは素晴らしかった。右サイドの松井がクロスを上げる瞬間には、ファーサイドに逃げて相手のマークを外していた。中央からボールがこぼれてくる可能性など、一瞬の間にさまざまな判断ができていた。結果的にはダイレクトでボールが来て、ファーストタッチを軸足に当ててしまったが、落ち着いてシュートを放っていた。トラップをミスしてもゴールを決めてしまうあたりは“持っている”というところを感じさせた。

 本田の1トップに変更してから時間はたっていないが、ここからメンバーを代えてどうこうできる状況ではないだけに、オランダ戦もこのメンバーで行くしかないだろう。日本がチャンスを増やすためには、本田がもっとキープできるようにならなければ苦しい。この日は1トップというよりも“最前線の自由人”という形で、うまくキープできた場面もあったが、周りを促すプレーはできていなかった。両サイドの大久保、松井をもっと使えるようになれば、厚みのある攻撃になる。

 マン・オブ・ザ・マッチは本田だったが、最も光っていたのは阿部のプレーだろう。アンカーというポジションには“攻めてきた相手をつぶす”というイメージを持っていたが、この日の阿部は自分から仕掛けてボールを奪っていた。後半の残り15分あたりからは自分からは出ていかず、DFラインのサポートに回っていた。完封勝利は阿部の的確な状況判断によるものと言っても過言ではない。次戦ではトップ下のスナイダー、左から中央に切れ込んでくるファンデルファールトらをしっかり止められれば、オランダ相手でもいい勝負ができるはずだ。(元日本代表MF)

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2010年6月15日のニュース