阪神・前川 輝に勝った「アレ・ネット」越え13発 8000人観客沸かせたランチ特打で柵越え27本

[ 2024年2月5日 05:15 ]

ランチ特打で柵越えを連発する阪神・前川(撮影・大森 寛明)
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 阪神・前川右京外野手(20)が沖縄・宜野座キャンプ第1クール最終日の4日、初のランチ特打で67スイング中27本の柵越えを放った。今年から右翼後方に新設された通称「アレ・ネット」も越える特大弾は13発。佐藤輝との初“競演”で、主役の座を奪う豪快弾を連発した。打球に加え、岡田監督からの評価も急上昇。激化する外野手争いに名乗りを上げた。

 主役は前川だった。今キャンプ初めて佐藤輝と“競演”。ランチ特打では最長5連発を含む27本の柵越えを放った。右翼から中堅までの芝生席に新設された「アレ・ネット」を越える特大アーチは推定飛距離130メートル弾を含めて13発。プロ3年間で68本塁打を誇る先輩のお株を奪う驚弾を連発した。

 「いい感触になってきている。打球角度も自然に上がっていったので良かった」

 今キャンプ初の日曜日には最多8000人の観衆が集結した。大観衆の視線は自然と背番号58に集まり、柵越えと同時に拍手の数も増していった。「結構、拍手が起こっていた」。隣でバットを振っていた佐藤輝も観客の熱狂ぶりは伝わっていた。

 単に柵越えを連発しただけではない。実は打球の質にも大きな変化があった。これまで前川が放つ外野への打球はライナー性が目立った。しかし今キャンプでは力強さが増した打球の質と同様に角度も急上昇。高く舞い上がった打球が何度も右翼席に着弾。この変身ぶりに若虎は「変えたのは2つ」と真相を明かした。

 <1>打撃時のトップの位置でのリラックス インパクトだけに集中してスイングすることが狙いだった。「(以前は)トップで力んでいた。まだ全然だけど、今は“絶対に力むな″と自分に言い聞かせながら打席に入っている」

 もう一つは<2>下半身の力の入れ方 より打球に力を伝えるために下半身が浮き上がる悪癖を矯正した。

 「ちゃんと下(半身)に、左足の親指、母指球に力を入れるようにして打っている」

 その打球角度に比例するように岡田監督からの評価もうなぎ上りだ。「今の状態やったら前川とか野口の方がいいもんな」。ノイジー、森下、ミエセスら外野戦線は熾烈(しれつ)。強力なライバルがそろう中でも高卒3年目の若虎は自分との闘いに重きを置く。「アピールというのはもう捨てている。冷静にやる」。昨春も期待を背負いながらキャンプイン直前に左上肢のコンディション不良で離脱。悔しさを知るからこそ、言葉に力を込めた。「一日一日を大切に自分と向き合いたい」。普段通りの自分を続けた先に、外野のレギュラーが待っていると信じる。(松本 航亮)

 ◇前川 右京(まえがわ・うきょう)2003年(平15)5月18日生まれ、三重県出身の20歳。智弁学園では1年夏に4番として甲子園初出場。3年春は8強、同年夏は準優勝と3度出場した。高校通算37本塁打。21年ドラフト4位で阪神入団。2年目の昨年5月30日の西武戦でプロ初出場し、6月6日の楽天戦でプロ初安打。通算成績は33試合で打率.255、7打点。1メートル76、83キロ。左投げ左打ち。

 《佐藤輝は新打法手応え》佐藤輝はランチ特打では前川の柵越え連発が気になっていた。「結構、拍手が起きていたので、いいバッティングをしてるのかなって思いながらやっていました」。73スイングで柵越えは11本。「アレ・ネット」越え弾は4本だった。しかしオフに米国で学んだ新打法が「ぬれぞうきんくらい体に染みこんでいる」と手応えを感じている。2度の特守があった過酷な第1クールを振り返り「足腰、頭にきてます。頭は(疲れて)糖分が足りていない」と話した一方で、野球教室では「(子供が僕のことを)ギータと言っていたので、頑張ります」と誓った。

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