松坂大輔氏 打者を惑わせたエンゼルス・大谷のスイーパーの「幻影」

[ 2023年5月23日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス4-2ツインズ ( 2023年5月21日    アナハイム )

<エンゼルス・ツインズ>力投する大谷(撮影・会津 智海)
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 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】最大の武器のスイーパーを投げなくても、相手打者の脳裏からはその「幻影」が消えない。投げなくても必殺のボールが効いている。そんな大谷投手の投球だったと思います。

 過去4試合続けて1試合3失点以上は自身メジャーワースト。多投していたスイーパーを本塁打されるシーンもあり、中地区首位のツインズを相手にしたこの日は割合を減らしていました。そのスイーパーを巡る攻防が6回。2番・コレア選手を先頭打者で打席に迎えたシーンでした。

 3回2死一塁では2球続けたスイーパーを二塁打にされ、先制点を奪われました。6回、大谷投手は追い込んでからの4球目の決め球に外角へのスプリット。これがボールになりました。コレア選手は最後、スイーパーで決めにくると意識したでしょう。18.44メートルを挟んだ2人の読み合いで大谷投手が選択したのは直球。スイーパーの「幻影」が頭にあったコレア選手は、完全に差し込まれた空振り三振となりました。

 スイーパーの割合を減らしても打者の脳裏には強烈に残っている。そしてそれ以外の直球はもちろんカットボール、スプリット…と、どの球種もカウント球にも決め球にもなる。打者22人に99球。完璧な当たりは一度もなかったと思います。これまでと違う内容の投球で、相手には改めて「攻略しづらい投手」と印象づけたのではないでしょうか。

 開幕の頃に比べると絶好調といえる状態ではないかもしれません。それでも過去4試合で、打たれながらも白星が2つ付いたことも大きかったと思います。大谷投手のスイーパーを徐々に打ち出したメジャーの打者の対応力も見事ですが、大谷投手も先を読んでいます。今後の「駆け引き」も楽しみです。(スポニチ本紙評論家)

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