【虎番リポート】防御率14・54から始まる阪神・浜地の逆襲 「原因に目を向けよう」千賀の金言胸に

[ 2023年5月23日 07:30 ]

13日のDeNA戦に2番手で登板した浜地
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 デジタル表示の「14・54」に、緊張は少しほぐれたそうだ。「バックスクリーンに14点台って出たのを見てちょっと笑っちゃいましたけど」。不振で2軍降格していた阪神・浜地が12日に1軍復帰した。今季は勝ちパターンの一員として期待されながら開幕から不振。52試合でわずか9失点だった昨季から一転、5試合で7失点を数え、4月中旬に登録を外れた。

 昇格後初登板は13日のDeNA戦(甲子園)の7回。4点優勢の場面で、敗戦処理からの出直しではなかった。「ここ(リード場面)で行かせてくれるんだと。うれしい気持ちもありましたし、4点差で、いい打線なのでワンチャンスでっていうところで、もちろん恐怖もありました」。約1カ月の再調整を経て上がったマウンドは生やさしいものではなかった。被安打1で無失点。「僕にとって無失点がどれだけ大きくて、“薬”になるのかは分かっていたので一歩は踏み出せたのかなと」。スコアボードに「0」を刻むのは、4月1日の開幕2戦目以来だった。

 1カ月に及んだ再調整の期間でフォーム修正は「微調整ぐらい」。問題は別のところにあった。「コンディションが知らないうちに悪くなっていて、ひどい状態だった。(肩の)可動域も狭くなって、筋肉の出力も落ちてる。2軍に落ちる前も(思い切り腕を振って)頑張ってるから150キロは出る。(腕の振りと)ボールにギャップが出ていなかった」。オフの自主トレから追い込んでいた自覚はあっただけに完全な“ガス欠”状態で腕を振っていた。

 再調整期間、指針にしていた言葉がある。降格前から、1月に米国で合同自主トレしたメッツ・千賀に相談に乗ってもらっていた。「“打たれて落ち込むこともあるけど原因に目を向けよう”と。“打たれてどうしようで止まってる時があるから原因を突き詰めよう”という言葉をもらいました」。2軍合流後の約2週間、勇気を持って実戦を封印したのも「原因」としっかり向き合うためだ。

 目下、2試合連続ホールドを記録。岡田監督は楽な場面からではなく勝ちパターンで起用することに「別に普通」と素っ気ない。見え隠れするのは、背番号36への期待と信頼。防御率「14・54」からの逆襲が始まった。(遠藤 礼)

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