フランス代表監督が76ersのエンビードに代表入りを要請 米国籍取得で注目される国際大会の国籍選択

[ 2022年10月7日 09:06 ]

代表チームの選択が注目されている76ersのジョエル・エンビード(AP)
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 男子バスケットボールのフランス代表監督で、フランス・リーグのメトロポリタン92を率いて米国を訪れているビンセント・コレ監督(59)は6日、NBA76ersのセンターで前週に米国籍を取得したばかりのジョエル・エンビード(28=213センチ、127キロ)に対し、「彼の意思を尊重するが、ぜひ私たちと一緒にプレーしてほしい」と語り、来夏のW杯、さらに2024年のパリ五輪でのフランス代表入りを促した。

 AP通信が報じているもので、昨季30・6得点でNBAの得点王となったエンビードはカメルーン出身だが旧宗主国でもあるフランス国籍を取得済み。しかし15歳でバスケットボールを始めたあとは米フロリダ州の高校に留学し、カンザス大から2014年のNBAドラフトで全体3番目に指名されてペンシルベニア州フィラデルフィアに本拠を置く76ersに入団していた。

 米国在住は10年以上。これまで代表選手として国際大会に出場したことはなく、エントリーする場合には国際バスケットボール連盟(FIBA)にどの国籍を選択するのかを通知する必要がある。現在、フランス代表チームでGMを務めるNBA元スパーズのボリス・ディアウ氏(40)がエンビード本人を説得中。しかし本人は「それを決めるのはまだ早い」と結論を先送りしている。スポーツ専門局のESPNによれば、パートナーのアン・デ・ポーラさんはブラジル出身ということもあって、エンビードには複数の選択肢が存在。それでもコレ監督は「バスケットボールの選手であれば国籍を1つ選ばなくてはいけない」として“フランス入り”をアピールした。

 フランスは2019年のW杯で3位、21年の東京五輪では2位となり、先の欧州選手権でも2位。東京五輪で活躍したルディ・ゴベア(30=ティンバーウルブス)、ニコラス・バトゥーム(33=クリッパーズ)、エバン・フォーニエー(29=ニックス)といったNBAのベテラン選手がパリ五輪でも主力になると見られており、そこにエンビードが加わると、五輪5連覇を狙う米国にとっては最大の強敵になる可能性がある。

 しかもコレ監督率いるメトロポリタン92には、来年のNBAドラフトでフランス選手史上初のトップ指名選手になると予想されている223センチのビクトル・ウェンバンヤーマ(18)がいて、同選手は4日と6日に米ネバダ州ラスベガス郊外で行われたGリーグ・イグナイトとのプレシーズン・マッチの2試合で計73得点(3点シュートの成功は18本中9本)、15リバウンド、9ブロックをマーク(チームは1勝1敗)。五輪で金メダルを狙うフランスにとっては絶妙のタイミングで登場してきた期待の星となっており、ゴベア、エンビードを含めた“トリプル・タワー”が誕生すると(この3人の平均身長は217センチ)サイズで劣る米国にとっては脅威となるだけに、エンビードの選択が注目されるところだ。

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