「新世紀世代」山下 完全Vへ隙なし6差独走、雨も苦にせず67「攻めていける」

[ 2022年5月8日 05:30 ]

女子ゴルフツアー ワールド・サロンパス・カップ第3日 ( 2022年5月7日    茨城県 茨城GC西C=6680ヤード、パー72 )

<ワールド・サロンパス・カップ第3日>11番、ティーショットを放つ山下(撮影・西尾 大助)
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 ツアー通算2勝目を狙う山下美夢有(みゆう、20=加賀電子)が「完全V」に王手をかけた。首位から出て6バーディー、1ボギーの67で回り、通算11アンダー。2位に6打差の独走態勢に入った。スイングの修正と新パターの導入で圧巻のゴルフを展開。01年生まれの「新世紀世代」初の国内メジャーVへ加速した。通算5アンダーで安田祐香(21=NEC)と青木瀬令奈(29=フリー)が2位につけている。

 もはや「山下の大会」と言っていい。今日イチと位置づけたのは最終18番のスーパーショット。残り195ヤードの左ラフから5Uで放った第2打は花道を転がり、グリーンに乗ってピン横6メートルへ。「刻むことも考えたんですが…。思い通りに出ました」。V争いの緊張から第1打を左に曲げたが、楽々と2パットのパーで切り抜けた。強い。全てが思い通りに運んだ。

 雨が降ろうが、風が吹こうが、全く隙がなかった。4番まで3連続を含め、6バーディーを奪取。コース記録「64」をマークした初日から首位に立ち、2位に6打差と独走する。5番からの天候悪化にも「雨は嫌いじゃない。グリーンが止まるので攻めていける」とむしろ歓迎。同じ最終組の青木が「雨も意識せず淡々とプレーしていたのが印象的」と舌を巻いたほどだ。

 コーチも務める父・勝臣さんの約1カ月ぶり同行が好調の要因。トップで間を置いて打つリズムを指摘され、正確なショットがよみがえった。前週まで3週連続の予選落ち。ただ会場に父の姿はなく動画を送り電話で指導を受ける毎日だった。「実際に見てもらう方が球筋も分かるし、私自身も自信になる」。前週までとは別人になった。

 今週、ピン型からマレット型に替えた新パターもはまった。年に2、3本は替えるタイプだが「ストロークが安定する」と決断。この日も13番では9メートルを沈めた。昨年は最終日首位発進で3度の逆転を許したが、過去のこと。「明日もノーボギーが目標」と言う。西郷、笹生らと同じ「新世紀世代」。88年のツアー制度施行後、国内メジャーでは史上15人目の完全Vへ、山下に死角はない。

 《完全優勝過去14人》国内メジャーの完全優勝は88年ツアー制度施行後では過去14人が達成。国内メジャーの最年少完全Vは05年日本女子オープンを制した宮里藍の20歳105日。山下が20歳278日で達成すれば歴代2位の年少記録。直近では20年ツアー選手権リコー杯で原英莉花が達成している。

 ◇山下美夢有(やました・みゆう)2001年(平13)8月2日生まれ、大阪府寝屋川市出身の20歳。大阪桐蔭高卒。父・勝臣さんの影響で5歳からゴルフを始める。19年プロテストは6位で合格。昨年4月KKT杯バンテリン・レディースでツアー初優勝。同5月には日本人最長となる79ホール連続ボギーなしを記録。名前の由来は「美しい夢を持ってほしい」との願いと母・有貴さんの一文字を取って。1メートル50、52キロ。

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