新十両・栃丸 万感の白星発進 込み上げる感情は「終わった後に一気にくる」

[ 2022年5月8日 15:49 ]

<大相撲夏場所初日>十両土俵入りを行う栃丸(撮影・久冨木 修)       
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 大相撲夏場所初日、新十両の栃丸(29=春日野部屋)が千代嵐を突き出しで破り、初日を白星で飾った。立ち合いから押し込まれたが、うまくいなして体を入れ替えてから持ち味の回転の良い突っ張りで勝負を決めた。幸先の良い白星発進にも「攻めの気持ちが少し足りなかった。いなしたり引いたりが出てしまった」と満足の内容ではなかった。

 それでもこの1勝は特別だ。16年初場所、幕下13枚目で6連勝しながら最後の一番に敗れて十両昇進を逃した。あれから6年、膝のケガや番付運に恵まれなかったことも重なり「あと1勝」に泣くこと計7回。ついにつかんだ悲願の関取の座だった。込み上げてくる感情は「終わった後に一気にくると思う」とまずは目の前の相撲に集中する意気込みだが、目を潤ませながら言葉を紡ぐ姿に万感の思いが感じられた。

 初めての土俵入りでは「栃丸ねりま後援会」から贈られた化粧まわしを締めた。同後援会幹事長で練馬石泉相撲クラブ代表を務める白石浩三さんは「私たちの思いも化粧まわしに詰まっていました。11年間の努力が結実しました。誠実で実直な姿勢で精いっぱい頑張ってほしい」と感無量だった。デザインは地元・東京都練馬区の公認キャラクター「ねり丸」があしらわれたもの。同区出身初の関取となった29歳は「みんなに“似てるね”って言われる。練馬区のキャラクターをつけて土俵入りできるのはすごくうれしい」と喜んだ。

 ◇栃丸 正典(とちまる・まさのり)本名・長谷山正典。1992年(平4)8月26日生まれ、東京都練馬区出身の29歳。4歳から練馬石泉相撲クラブで相撲を始める。大泉学園小4年時にわんぱく相撲全国大会と全日本小学生相撲優勝大会で2冠。6年時にわんぱく相撲全国大会で2度目の優勝(わんぱく横綱)。大泉学園中3年時に関東大会3位。足立新田高2年時に全国選抜大会16強。11年技量審査場所で初土俵。16年初場所で幕下優勝。22年春場所、幕下筆頭で勝ち越して新十両昇進を決めた。1メートル71、162キロ。家族は両親と兄、姉、弟。

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