世界的司令塔が見せた対戦相手への気遣い「あんなに喜ぶ必要ない」ラグビーリーグワン 花園の1部昇格決定

[ 2022年5月8日 17:27 ]

ラグビーリーグワン2部1~3位順位決定戦最終節   花園34―22相模原 ( 2022年5月8日    東京・秩父宮ラグビー場 )

<相模原・花園>後半28分、フィフィタがゴール前までボールを持ち込みクーパーがトライを決める(撮影・篠原岳夫)
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 花園(旧近鉄)が相模原(旧三菱重工相模原)に34―22で勝利。同順位決定戦を2戦2勝、勝ち点9の1位(2部優勝)で終え、今季の特別規定により自動で来季の1部昇格を決めた。

 攻守でフィフティーンをけん引したのが、オーストラリア代表通算75キャップを誇るSOクウェイド・クーパー(34)だ。攻撃時はピッチ中央付近でのディフェンスに強みを持つ相模原をいなす形で左右に大きくボールを回し、エッジでのトライを次々に演出。5点リードの後半28分にはCTBフィフィタの抜け出しをサポートし、自らトライを挙げる活躍を見せた。

 19年W杯日本大会後に豪代表同僚のSHゲニアと共に加入したクーパーは、“昇格請負人”として役割を果たし「加入した時は2部だった。面白い3年間の旅だった。チーム、そして組織としても成長を実感している」と話した。レギュラーシーズンの最後の3試合はケガで欠場したものの、順位決定戦から復帰。「代わりに若手が出て、タイトな試合で負けてもおかしくない試合だったが勝ちきって、ハートが強くなった。今振り返れば、ケガして良かったと思う」とチームの成長を感じ取っていた。

 試合後には1部昇格に喜びを爆発させる仲間たちを制して集め、円陣の中心でトークした。

 「特別な瞬間だと分かっているが、同時に負けて傷ついているチームが近くにいる。前回(相模原に)負けた時に、相手が大喜びして、嫌な思いをした。みんなを集めて言ったのは、“相手はああやって喜んだが、われわれは勝つべくして勝ったのだから、あんなに喜ぶ必要はない。喜ぶならロッカーに帰ってからでいい”と伝えた」

 勝っておごらず、対戦相手を思いやる気遣いを見せたワールドクラスの司令塔。1部に昇格する来季については「契約はまだあるが、もういらないと言われるかも知れない」とジョークを発しつつ、「これは旅の終わりではなく始まり。1部ではさらに努力が必要。最終的には日本一を目指す」と宣言した。

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2022年5月8日のニュース