上水研一朗氏 斉藤は慌てず落ち着いて戦えるようになった

[ 2022年4月30日 05:30 ]

柔道 全日本選手権 ( 2022年4月29日    日本武道館 )

決勝で、影浦心を攻める斉藤立(右)
Photo By 代表撮影

 【上水研一朗の目】斉藤は自分の形をしっかり整えてから、技を出すという手順を徹底できるようになったことが最近の躍進につながっている。以前は焦って技を出した隙を突かれる場面が多かったが、慌てず落ち着いて戦えるようになった。体格では誰にも負けていないので、どっしり構えられると対戦相手はなかなか崩せない。決勝で対戦した影浦も、斉藤の釣り手をどう抑えるかを考えた戦いぶりを見せたが、後半は抑えきれずに最後は大外刈りに屈した。相手がつぶれた後、寝技に移行できるようになったことも大きいだろう。

 今後、世界で戦うためには、もう少し速さを身に付けたい。海外勢も斉藤の研究をしてくるはずで、釣り手を抑えられた時の戦術バリエーションを増やせば勝機も広がる。現時点の技の破壊力を伸ばしながら、逆に崩す技を2、3個覚えれば面白いだろう。また、国際試合は指導のタイミングが早いため、決勝のような長期戦は考えづらい。早めに国際試合で経験を積み、課題を洗い出しながら、今後に備えてほしい。(東海大体育学部武道学科教授、男子柔道部監督)

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2022年4月30日のニュース