村岡 日本勢大会1号の金!連続5種目メダルへまず滑降制覇、夏冬二刀流で生きた体幹強化

[ 2022年3月6日 05:30 ]

北京冬季パラリンピック第2日 アルペンスキー ( 2022年3月5日    国家アルペンセンター )

女子滑降で優勝した村岡(AP)
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 冬の女王が戻ってきた!アルペンスキー女子滑降が行われ、日本選手団主将で座位の村岡桃佳(25=トヨタ自動車)が日本勢1号となる金メダルに輝いた。5つのメダルを獲得した前回2018年平昌大会に続き、2大会連続の金。昨夏には東京パラリンピックに陸上で出場した“夏冬二刀流”が、最高のスタートを切った。 

 陸上競技用車いすから、チェアスキーへ。陸上トラックから、ゲレンデへ。やはり、村岡には雪景色が似合う。今大会初レース。ゴールすると確信したように左手を上げた。

 「初日から“絶対に金を獲ってやる!”って気持ちだった。凄くうれしいのと、安心感がある」

 相手はライバルだけではなかった。今回のコースはスタート直後の崖のように感じる急斜面に2カ所の直角カーブ。ハーフパイプの中を滑るようなすり鉢状の難所もあり、雪質はスケートリンクのように硬い。この日は男女とも転倒が相次ぎ、女子座位では出場7人中4人がゴールできなかった。村岡も初日の公式練習で転倒しており、「めちゃくちゃ不安だった」という。

 二刀流の経験が、コースを攻略した。19年4月から陸上競技に挑戦。岡山市に拠点を置く車いす陸上の実業団チームの門を叩いた。男子並みの練習量に最初はついていけず、夜は涙で枕を濡らした。だが、夏へ向けた鍛錬で強化された体幹は、荒れた雪面や体を傾けるカーブでの安定性を助けてくれた。「ターンの質が上がった。雪面に対してより対処できるようになった」。相乗効果だった。

 満足できる練習時間はなかった。東京パラが終わるまでの2年半はスキー大会には出場しても雪上での練習はなし。今年1月には滑走中に右肘じん帯を損傷し、北京パラ直前の国内最終レースにさえ参加できなかった。

 懸命のリハビリと調整で、この大舞台に間に合わせたのは北京が「二刀流挑戦のゴール」だから。東京パラを終え、今まで以上に「パラに懸ける気持ちもどんどん膨らんだ」ことも背中を押した。

 今回と同じく全5種目に出た平昌は銀メダルからのスタートだった。その後は銅銅金銀と続いて、5つのメダルを獲得。北京は黄金の輝きから幕が開けた。「二刀流挑戦のゴールへのスタート」。「雪の女王」の祭典は、始まったばかりだ。

 【村岡 桃佳(むらおか・ももか)】

 ☆生まれ 1997年(平9)3月3日生まれ、埼玉県深谷市出身の25歳。

 ☆経歴 正智深谷高―早大。パラスポーツ選手として初めて早大の「トップアスリート入試」に合格。スキー部の寮は村岡のためバリアフリーに改修された。

 ☆競技歴 病気の影響で4歳から車いす生活。9歳でチェアスキーを始め、中学2年で本格的に競技を開始。17歳で日本代表に初選出された。

 ☆主な実績 14年ソチ大会大回転ではアルペンスキー女子座位5位入賞。開会式旗手を務めた18年平昌大会では日本史上最年少金メダリスト。また、日本人では最多となる1大会5個のメダルを獲得した。

 ☆陸上挑戦 東京パラでは100メートル(車いすT54)で6位入賞。

 ☆趣味 サンリオキャラクター好き。屋内型テーマパーク「サンリオピューロランド」にも足を運び、自宅はグッズであふれる。

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