ボッチャ杉村英孝が金メダル 個人日本勢初の快挙 前回リオ大会王者を下す

[ 2021年9月1日 19:04 ]

東京パラリンピック第9日 ボッチャ個人(脳性まひBC2)   杉村英孝5-0ワッチャラポン ( 2021年9月1日    有明体操競技場 )

杉村英孝(撮影・木村 揚輔)
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 ボッチャ個人(脳性まひBC2)決勝が1日行われ、杉村英孝(39=伊豆介護センター)は、16年リオ王者で大会連覇を狙ったワッチャラポン・ウォンサ(タイ)を5─0で下し、金メダルを獲得した。ボッチャ個人種目では日本勢では初のメダル獲得となった。

 第1エンドを2─0としてリードを奪うと、第2エンドも劣勢を第5投で相手の球を押してジャックボール(目標球)に自分の球を近づけるショットで1点を重ねる。第3エンドもさらにリードを広げる1点を追加。最終エンドも大量得点が必要な相手に、冷静な試合運びで、ほぼミスもなく、1点を追加する完勝だった。

 8月31日の準決勝では12年ロンドン大会覇者のマシエル・サントス(ブラジル)に3―2で競り勝ち、決勝に進んだ杉村。16年リオ大会では主将としてチーム(団体戦)の銀メダルに貢献したが、個人では8強止まり。「過去の自分に勝つ」という目標を胸に臨んだ東京大会で、「胸を借りるつもりで、チャレンジャーな気持ちで戦いたい」と話した前回大会王者をもねじ伏せた。

 先天性の脳性まひ。静岡市内の特別支援学校の高等部3年時にボッチャと出会った。12年ロンドン大会に出場してから3大会連続出場。1年間の延期で練習も苦労したが、沼津市内に、大会で使用する床素材を敷き、球を投げ続けてきた。「リオ以上の結果を残して知名度を上げないと」と話すなど、競技を背負う第一人者としての強い思いがある。そして、開会式では代表を外れた内田峻介(大体大)が聖火台へ点火を行った姿をテレビを見た。「これまで戦ってきた仲間の思いも背負って戦う」。仲間を思い、ボッチャを思い、東京の地で頂点に立った。

 ◇杉村 英孝(すぎむら・ひでたか)1982年(昭57)3月1日、静岡県伊東市出身の39歳。先天性の脳性まひで、静岡市内の特別支援学校に通い、高等部3年の01年に先生の勧めでボッチャを始める。パラリンピックは12年ロンドン大会に初出場し、16年リオデジャネイロ大会の団体戦で、日本勢初メダルの銀メダルを獲得した。日本選手権は5度優勝。好きなスポーツはサッカー。夢はクラスや障がいの有無などを問わない「ボッチャ無差別級大会」の開催。伊豆介護センター所属。

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