パラ競泳・木村敬一が100メートル平泳ぎで銀メダル「ホッとした」 3大会連続で計7個目のメダル

[ 2021年9月1日 18:06 ]

東京パラリンピック第9日 競泳男子100メートル決勝(視覚障がいSB11) ( 2021年9月1日    東京アクアティクスセンター )

<パラリンピック 競泳>男子100メートル平泳ぎ(SB11)決勝、2位となり悔しそうな表情を見せる木村(撮影・木村 揚輔)
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 男子の100メートル平泳ぎ(視覚障がいSB11)決勝が1日に行われ、4大会連続出場の木村敬一(30=東京ガス)が1分11秒78で銀メダルを獲得した。08年北京大会から3大会で銀3、銅3の6つのメダルを手にするパラ競泳のエースが自身7つ目のメダルを獲得となった。

 この日午前中に行われた100メートル平泳ぎの予選では、1分14秒05をマークし、全体3位で決勝に進出。「全体的にいい動きができた。後半もっと力強くストロークできれば、記録は上がる」と話していた通り、前半の50メートルをトップで通過。ドルスマン(オランダ)と僅差の勝負で最後にかわされたが、予選のタイムを大幅に更新した。「いいレースしましたね。テンポも午後なので自然と上がると思った。自分の泳いでいる速度を信じて、もがいておりました。最初の個人メドレーでメダルを獲れなかったのでホッとしている」と話した。

 自身3度目のパラリンピックとなった16年リオデジャネイロ大会では個人5種目に出場して銀2、銅2のメダルを獲得したものの、金に届かず「あれだけ頑張っても勝てないのか」と嘆いた。その中で新たな道を模索。18年4月から米国に新天地を求めた。活路を見出そうとした試みはコロナ禍に遭って20年3月に帰国を余儀なくされたものの、当初は英語も話せなかった慣れない環境で対応力を育み「自己肯定感が付いた」と話す。正しいと思えば貫き通す力だ。

 5月21~23日のジャパンパラ大会で10日間の日程で行われるパラ本大会を見据え、大会開幕前から独自にタイムトライアルを設定するなど5種目の予選と決勝をイメージした“10レース”を泳いだ。

 結論は東京パラは3種目に絞って負担を減らすこと。「リオからの5年は長かったと思う。練習していて“しんどいな”と思うことが増えた」。加えて本命の100メートルバタフライは疲労が蓄積するであろう競技最終日(9月3日)の開催。「そこでベストのレースをしたい。金メダルに届かない種目はやらなくてもいい」と決めた。

 8月30日の200メートル個人メドレーは5位に終わったが、最初のバタフライで100メートル決勝を意識して飛ばしたための失速。「まずは大会の雰囲気を味わうこと」だったという目標も果たした。照準はあくまでも100メートルバタフライ。「(平泳ぎは)良くて銅メダルと思った。目標はまだ達成できていないので、切り替えていきたい」。3日の“金挑戦”に弾みを付けた。

 ◇木村 敬一(きむら・けいいち) 1990年(平2)9月11日生まれ、滋賀県出身の30歳。筑波大付属視覚特別支援学校―日大―日大大学院―東京ガス所属。先天性疾患で2歳の時に視力を失う。小学4年から水泳を始めた。パラは08年北京から4大会連続出場。12年ロンドンで銀と銅、16年リオでは銀2、銅2のメダルを獲得。1メートル71、67キロ。

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