空手・植草 香川氏からの暴力認められず、帝京大が報告書公表「不慮の事故」

[ 2021年5月11日 05:30 ]

植草が訴えた香川氏による暴力は認められなかった
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 空手の東京五輪組手女子61キロ超級代表の植草歩(28=JAL)が母校の帝京大での竹刀を使った練習で目を負傷した問題で、帝京大は10日、内部調査委員会の55枚にわたる報告書を公表し、帝京大で師範を務める全日本空手道連盟の香川政夫・前強化委員長(65)が「暴力を振るった事実は存在しなかった」と結論付けた。職務停止中の同氏は、帝京大での指導を再開する見通しとなった。

 調査委は植草や香川氏、コーチや部員ら91人への聞き取り調査を実施。竹刀を用いた組手練習は「指導方法として不適切」と認定したものの、今年1月に植草が目を負傷した状況については、静止状態にあった竹刀の先端に突っ込んで負傷した「不慮の事故だった」と指摘。暴力指導とは認めなかった。

 一方、植草が香川氏から男性との交際状況を尋ねられた点については、「受け止め方によってはセクハラに当たるおそれがある行為」、4月からの大学院進学について再考を促したことについては「私生活等につき過度な干渉をしないよう」などと、同氏の指導態度の改善を求めた。

 調査結果を受けて取材に応じた香川氏は「暴力的な指導が認められなかったとの調査結果に満足している。今後全力で選手の指導に当たりたい」と話した。

 【空手・植草のパワハラ騒動経過】
 ▼1月27日 竹刀を使用した稽古で植草が左目を負傷。
 ▼3月24日 植草が香川氏を告発したことが明るみに。
 ▼同28日 植草が自身のブログで香川氏によるパワハラ事案を克明につづる。
 ▼同31日 全空連の倫理委員会が両者から事情聴取。
 ▼4月1日 倫理委員会による聴取を受け、植草側が刑事告訴方針を撤回。
 ▼同6日 香川氏が強化委員長と全空連理事の辞意を固める。
 ▼同9日 全空連の臨時理事会で香川氏の強化委員長解任と、理事辞任を決議。
 ▼同15日 全空連が臨時理事会の内容を公開。香川氏によるパワハラは認定されず。
 ▼5月1日 国際大会で植草が3回戦敗退。
 ▼同10日 帝京大が「暴力を振るった事実は存在しなかった」とする報告書を公表。 

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