東京の明かりが消える、3度目緊急事態宣言 夜8時以降の消灯要請、感染抑えられなければ…五輪どうなる

[ 2021年4月24日 05:30 ]

23日、緊急事態宣言発令を受け、会見を行った小池都知事
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 菅義偉首相(72)は23日、新型コロナウイルス感染症対策本部会合を官邸で開き、東京、京都、大阪、兵庫の4都府県に対し改正特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令を決定した。期間は25日から5月11日まで。発令は3回目となる。一方、東京都の小池百合子知事(68)は感染防止対策として都内で午後8時以降、街灯以外の消灯を行うよう仰天要請。これで感染を抑えられなければ東京五輪の灯も危うくなる。また、プロ野球は宣言解除まで試合を延期する可能性も出てきた。

 小池氏は消灯要請について「午後8時以降、街頭の照明を伴う明るい看板、ネオン、イルミネーションなどを停止していただく」と説明。「オイルショックや東日本大震災の時は東京の夜の街が相当暗くなった」と振り返り「これらの目標はいかにして電力を使わないかだったが、今回は人の流れを抑制するための措置」と強調した。

 街灯は防犯上消さないものの、店頭などの照明を消すよう業界団体を通じて要請。「全ての明かりを消すように徹底していく」と決意を示した。

 酒類提供の飲食店への休業を要請する“禁酒令”に続く仰天措置。会見直後からツイッター上には、東京都知事になぞらえた「消灯と知事」や、戦時中の夜間空襲に備え、屋外に明かりを漏らさないように敷かれた制限「灯火管制」などのワードがトレンド入り。国民的アニメ「鬼滅の刃」に出てくる「全集中」をもじった「全消灯」などと揶揄(やゆ)する声もあった。

 東京五輪の開幕までちょうど3カ月前の宣言決定。感染を抑え込むことができなければ、影響を及ぼしかねない。小池氏が神経をとがらせるのは、感染力の強い変異株「N501Y」の急増。都のモニタリング会議では今後の感染がほぼ変異株に置き換わった場合、強い措置を取っても2週間後の5月7日には新規感染者が2000人、入院患者が6000人を超えるとの試算が示された。

 これが現実になると、医療体制はさらにひっ迫。医療従事者が不足してワクチン接種計画の歯車も大きく狂うことになる。ワクチン接種の状況によっては、米国など主要国のオリンピック委員会が選手団派遣に尻込みする可能性も生じてくる。宣言期間が延長されれば、運営準備への影響も避けられない。

 小池氏は3度目となる今回の宣言を「総力戦」と表現。この日夜の会見で、五輪の開催見送りは選択肢にあるか問われ「安全安心な大会を確保するのが役目だ」と力を込めた。だが、宣言中に感染を抑えこめなければ5月17、18両日に控える国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の来日に支障を来しかねない。真っ暗になる東京の夜同様、五輪への光は見えてこない。

 《1974年オイルショック余波、2011年東日本大震災で“節電”》1973年の第4次中東戦争をきっかけにしたオイルショックで、政府は翌74年1月、企業向け電力の供給削減を強化するなどの規制を実施。広告を中心にネオンが一斉に消され、走っている車両のヘッドランプが異様に明るく感じられた。2011年3月の東日本大震災では、電力が不足したことにより計画停電。節電も強く呼び掛けられ、ネオンのほか、ライトアップ、イルミネーションなどの自粛の動きが広がった。待ち合わせの定番であるショーウインドーの前も深夜のように暗くなった。

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